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新人経理担当者のための仕事術 第4回

経理の仕事は「2つの会計・3つの業務・4つの行為」

[ 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士)]

「経理」という仕事はじつに奥深く、会社の根幹を支える大事なものです。本連載では、「豆を仕切れる人」になるために、これだけはぜひ知っておいてほしい経理担当者のリテラシーについてお伝えしていきます。

新人経理担当者のための仕事術

新人経理担当者の仕事は「会社の取引を数値化する」こと

 経理には、大きく分けると制度会計管理会計の2つの会計に関わる仕事があります。2つの会計には、それぞれ計数管理資金管理経営管理の3つの業務があり、新任経理担当者の仕事は、制度会計の中の計数管理(会社の取引を数値化する仕事)が中心です。

 ちなみに経理の3つの業務については、「新人経理担当者のための仕事術 第3回」で説明しています。

 制度会計とは、法律等の規制に基づいて決算書を作成することをいいます。たとえば会社法は、会社に出資している株主や銀行などの債権者の保護を目的に、営業上の財産や損益の状況を明らかにするためにルールが定められています。また金融商品取引法では、投資家の保護を目的に投資判断に必要な数値等の情報提供を行うためにルールが制定されています。

  • 会社法…株主や債権者の保護を目的に、営業上の財産や損益の状況を明らかにするためのルール
  • 金融商品取引法…投資家の保護を目的に、投資判断に必要な数値等の情報提供を行うためのルール

 こうしたルールに基づいて決算書を作るのが「制度会計」です。

 会社は税務署に対し、「当社は今期○円稼ぎましたので、税金を△円納めます」と税務申告しますが、これは会社法に基づく決算書である「計算書類」をもとに、税法のルールに従って税金計算を行います。

 このように、確定した決算に基づいて納めるべき税金額を税務署へ申し出ることを確定決算主義による税務申告といいます。

 また、株主や債権者、投資家など、企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)へ果たす説明責任をアカウンタビリティといいます。

 制度会計は、このアカウンタビリティのために、ルールに基づいて決算書を作成するのです。

「3つの業務」を「4つの行為」で具現化

 制度会計には、会社の取引を数値化する「計数管理」、キャッシュ・フローを管理する「資金管理」、経営マネジメントに役立つ情報を提供する「経営管理」の業務があり、このうち新任経理担当者が任される主要業務が計数管理です。

 経理担当者は、3つの管理業務それぞれを会計上の取引として認識し、計上額を測定し、帳簿に記録し、一定期間ごとに取りまとめた会計情報を表示することで、様々な利害関係者に情報を提供します。

 制度会計が企業外部の利害関係者を対象にするのに対し、企業内部の利害関係者、特に経営マネジメント層に役立つ情報を報告するのが管理会計です。

 最終的に経理が目指すのは、損益等を計算する「豆を数える人」ではなく、経営管理を任される「豆を仕切れる人」。豆を仕切れる人になるには、管理会計の知識も欠かせません。

▼連載「新人経理担当者のための仕事術」

本記事は、『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』(日本実業出版社)より内容を抜粋し、企業実務オンライン用に再構成したものです。

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』
村井 直志 著 日本実業出版社 発行 A5判 208頁 定価1,400円(税別)

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著者 : 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士) 中央大学商学部会計学科卒。税務事務所、大手監査法人、コンサルファーム、東証上場会社役員などを経て、公認会計士村井直志事務所を開設。ビジネスにまつわる「数字」をわかりやすく伝承するアカウンティング・キュレーターとして、経営コンサルティング・監査・不正調査のほか、セミナー・執筆を行う。
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