就職氷河期から一転! バブル期をしのぐ売り手市場に
ほんの数年前まで「就職氷河期」といわれていたのが嘘のように、2015年度の新卒採用は“空前の売り手市場”となりました。
昨年12月に発表された『日銀短観』によれば、今はバブル末期だった1992年5月以来の「需要超過」水準にあるのだとか。そうした雇用環境の改善は、裏を返せば中小企業の採用担当者にとっては非常に厳しい状況だといえるでしょう。
しかしそんな時期だからこそ、安易にヒトを採用するのは禁物です。なぜなら企業にとって、「ヒト」は最も高価な買い物だからです。
しかもいったん正社員として採用したら、仮に業務遂行能力や勤務態度に問題があっても、簡単に退職させることはできません。
安易な採用は、将来のトラブルの種を背負い込むことになりかねないのです。
今回、講師を務めていただいた藤井恵介先生は、大手企業の人事部で年間200人の新卒者を採用した経験を持つ採用・面接のエキスパートです。
自社が求める人材を採用するために有効な求人票の作り方から面接時における質問の仕方まで、まさに企業の採用担当者が知っておきたい「採用・面接のツボ」について語ってくださいました。
高学歴・高職歴のエリートと「自社に相応しい人材」は違う
ところで、中小企業にとっての「優秀な人材」とはどんな人材でしょうか?
「高い学歴や職歴をもつ、一見“良さそうな人材”には、注意が必要です」
と藤井先生はいいます。
つまり、仮に一流大学卒や大企業の幹部経験者などが応募してきたとしても、そうしたエリートが自社の求める「優秀な人材」とは限らない、というのです。それどころか、
「上から目線で職場の雰囲気を悪くしたり、頭脳は明晰でも人徳がなかったりと、むしろマイナスな人材になることも少なくありません」
というのが藤井先生の見解です。
「中小企業には、まずスーパーマンのような人材は応募してきません。高い学歴や大手企業での勤務経験より、重要なのは“我が社に合う人物”を採用することです」(藤井先生)
だからこそ、人材を確保するための最初のステップとして、「どんな人物が欲しいのかを明確にする」ことが大切である、というわけです。
企業の採用担当者として、中小企業の顧問社労士として、実務で磨き上げた藤井先生のノウハウが詰まったお話に、多くの受講者が熱心に耳を傾けていました。
講師のご紹介
藤井 恵介氏
(特定社会保険労務士・社会保険労務士法人ミライガ代表)
名古屋の食品メーカーを経て、1999年、京都の半導体メーカーに転職。人事部で主に理科系新卒の採用担当として、年間200人を採用した経験を持つ。2005年、社会保険労務士事務所を開業。労務コンプライアンスに関するコンサルティングや、各種セミナー等の講師としても活躍中。
■社会保険労務士法人ミライガ