決算実務がはかどらないのはなぜ?
決算日は企業によって任意に決めることができますが、それでも日本の場合、3月31日を決算日に設定している企業がおそらく圧倒的に多いでしょう。
今回のセミナーでは、そうした3月決算の企業を例にとり、以下の3つを柱に、効率的に決算実務を進めるポイントについて解説しました。
② 本決算の実務を効率的に行うために、今から準備しておくべきこと
③ 決算日までに、今から対応できること
講師は月刊『企業実務』の執筆者としてもお馴染みの高岸直樹先生です。
ところで、決算実務がはかどらない主な理由としては、
- 決算に必要なデータがすべて入手できていない
- システムを定期的に検証していないため、不具合を見過ごしていた
- 担当者の知識不足から、会計基準・税法に沿った処理ができていない
- 現実的な着地点を想定しておらず、決算を締めた後になってから思っていた結果と異なり、困り果てる
などといったことが考えられます。
こうしたトラブルの大半は、
- 決算で問題が起きたときには、必ず記録に残しておく(次の担当者に引き継ぐ)
- システムを盲信しない。決算に必要なデータと照らし合わせて、定期的にシステムの検証ポイントを探る
- 会計基準・税法の知識が古くなっていないか、事前に見直す。法改正等の情報を得ておく
- 計画は作りっぱなしにせず、四半期ごとに実績と対比して損益予想を立てる
といった地道な作業で防げることが多い、と高岸先生は言います。
会社の決算書を読むのは誰か?
そして、意外に忘れがちなのが「決算書は、誰が読むために作るのか」ということ。
「株主なのか、税務署なのか、金融機関なのか、経営者なのか? 決算書といえども、読者を考えて作ることはとても大事です」(高岸先生)。
セミナーでは、実際に決算実務で起こりがちなトラブル、うっかりミスの具体例をあげながら、それらを防ぐポイントを丁寧に解説していただきました。受講者の多くが実際に決算実務を担当されている方とあって、先生の実務に即したお話は、おおいに参考になったことと思います。
講師のご紹介
高岸 直樹 氏
(税理士)
税理士。1992年、日本大学大学院法学研究科博士前期課程修了。98年、税理士登録。上場会社からベンチャー企業まで、ニーズに応じた税務実務を指導する一方、大学で会社法の講師も務め、税務と企業法務の両分野に精通。『企業実務』ほか執筆多数。
■税理士高岸俊二・直樹事務所