社会保険適用拡大への対応
ことし10月から、厚生年金保険の被保険者数51~100人の企業でも、
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・所定内賃金が月額8万8,000円以上であること
・2か月を超える雇用の見込みがあること
・学生でないこと
を満たす従業員(短時間労働者)に、社会保険加入が義務化されます。
手当支給や労働時間延長等の取組みに向けて、企業・従業員の負担を減らす各種支援策が展開されているので、確認しておきましょう。
健保・厚年の標準報酬の切替え
7月に提出した「報酬月額算定基礎届」に基づく定時決定で、9月から健康保険・厚生年金保険の標準報酬が切り替わります。
切替え後の標準報酬月額に基づく保険料は、原則として10月に支給する給与から徴収を開始します。手続きや金額等を改めて確認しましょう。
来年度の採用内定とフォロー
ことし4月に内閣官房から発表された「2025年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について」によると、内定出しは10月1日以降が原則です。
来春新卒予定者に採用の内定を出すにあたっては、入社誓約書を同封して内定通知書を送り、記名した誓約書を返送してもらうとよいでしょう。
また、入社をより確実にするため、定期的な連絡、社内報の送付、懇親会の実施など、積極的なフォローに努めてください。
社員の異動に伴う事務手続き
10月は、人事異動の多い月です。
同一職場内の異動であれば、特に法定の手続きはありませんが、住所地が変わる転勤や出向、扶養家族に変更があった場合は、社会保険関係の法定手続き、諸手当(通勤手当・住宅手当・家族手当など)の変更に関する事務などが発生します。貸与物品の返還や異動先への事務引継ぎも必要です。
全国労働衛生週間
10月1日から「全国労働衛生週間」がスタートします。今年度のスローガンは「推してます みんな笑顔の 健康職場」です。この機会に、快適な職場環境づくりに努め、健康管理意識を啓発するとともに、自社の安全衛生活動を見直しましょう。
全国労働衛生週間を活用し、過労死の防止を含めた長時間労働による健康障害の防止対策や、メンタルヘルス対策の推進、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立をサポートする仕組みづくりなどに取り組みましょう。
健康診断の実施
秋に健康診断を実施する企業では、その要領について社員に周知徹底します。当日都合がつかない社員には別の受診日を設定し、受診モレが発生しないように努めましょう。
ストレスチェックの実施
企業のメンタルヘルス対策として、従業員数50名以上の事業場では、1年に1回、ストレスチェックを実施することが義務付けられています(当面の間、従業員数50名未満の事業場については努力義務)。
結果は、実施者から本人に直接通知されます。本人の同意なく事業者がその結果を知ることはできません。
通知を受けて一定の要件に該当した労働者から申し出があった場合、事業者には医師による面接指導を実施する義務があります。さらに、面接指導の結果に基づいて医師から意見を聴取し、必要に応じて労働時間の短縮や、就業場所の変更といった就業上の措置をとらなければなりません。
なお、本人の同意を得て取得したストレスチェックの結果の記録は、5年間の保存義務があります。
冬季賞与の資料・情報の収集
冬季賞与を支給する予定の会社は、検討にあたって資料・情報の収集を始めたい時期です。
各種媒体のほか、商工会議所や同業組合、取引銀行の経営相談所などの資料・情報で、地域や業界の相場を調べておきましょう。
また、支給原資についても早めに確認し、売掛金の回収を強化するなど、資金確保の方法を検討しておきます。
年末商戦の人手の確保
ことし7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍、パートの有効求人倍率は同1.20倍と下落傾向です。
とはいえ、年末の繁忙期に向けてパートやアルバイトを確保する必要がある会社は、早めに手配しましょう。
「延納」を申請した場合の労働保険料第2期分の納付期限
労働保険の概算保険料は一括納付が原則ですが、年度更新の際に「延納」の申請をすることにより、3期に分割して納付することが可能です。
ことしの第2期分の納付期限は10月送られてきますので、内容を確認し、期日までに納付しましょう。
労働者死傷病(軽度)報告の提出
7月~9月の3か月間に発生した業務中の軽度の事故や疾病により、社員が3日以下の休業をしたときは、10月31日までに労働者死傷病(軽度)報告を、管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
なお、4日以上の休業が発生した場合には、その都度、労働基準監督署に報告しなければなりません。
2025年1月1日より、労働者死傷病報告の電子申請が義務化される点にも注意が必要です。