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事務ごよみ【人事・労務】

3月の事務ごよみ

[ 2023年3月号 月刊「企業実務」編集部 ]

4月に新入社員を迎える企業では、次のような事務が必要です。 (1)入社時に必要となる書類の準備、(2)入社後に支給・貸与する書類・備品の用意、(3)出勤簿(タイムカード)の調製、(4)新入社員の氏名や略歴などを紹介した文書の配属先への配付

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新入社員の受入準備

 4月に新入社員を迎える企業では、次のような事務が必要です。

(1) 入社時に必要となる書類の準備……通勤経路・費用申請書、扶養控除等(異動)申告書、個人番号申告書など

(2) 入社後に支給・貸与する書類・備品の用意……身分証明書、就業規則・諸規程集、社章、机・事務用品、制服・作業服、名刺など

(3) 出勤簿(タイムカード)の調製

(4) 新入社員の氏名や略歴などを紹介した文書の配属先への配付

 このほか、入社式や新入社員研修を実施する企業では、会場の場所や時間など、段取りの最終確認をします。

 感染症予防の観点から、オンラインでの実施も検討しておきましょう。

 新入社員のなかに社員寮や社宅への入居希望者がいる場合は、3月中に入居できるよう手続きを進めます。

賃上げの検討

 4月に定期昇給やベースアップを予定している企業では、賃上げに関する資料や情報を収集し、それらをもとに社員各人の人事評価も含めて具体的な数字の検討に入りましょう。

 厚生労働省がまとめた「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、昨年の中小企業(従業員数100~299名)の1人平均賃金の改定額は4,738円、改定率は1.9%という結果でした。賃金の改定決定に当たって重視した要素は、「企業の業績」が40.1%と最も多いようです。

 本誌では、2023年の中小企業の賃上げ相場を、業種ごとに予測しています。

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ

 ことし4月1日から、中小企業においても、月60時間を超える時間外労働に対し、割増賃金率が50%以上に引き上げられます。

 大企業では2010年4月から50%以上の割増賃金率が適用されていましたが、中小企業に対する猶予措置が3月31日で終了するためです。

 労使間での同意があれば、割増賃金の代わりに有給休暇を付与することも可能です。就業規則の変更などは、3月中に済ませておきましょう。

 本誌では、時間外労働が月60時間を超えた場合の実務について解説しています。

デジタルマネーによる賃金の支払いが解禁に

 ことし4月1日から、労働者の同意を得たうえで、一定の要件を満たした場合に限り、デジタルマネー(○○Pay など)による給与の支払いが可能となります。

 しかし、デジタルマネーを取り扱う資金移動業者の指定申請開始が4月1日以降ということからもわかるように、実際に運用されるまでには、まだ時間がかかると思われます。

 厚生労働省のホームページなどで、情報を集めておきましょう。

社員の異動に伴う事務手続き

 3月から4月は、人事異動の多い季節です。事務の引継ぎ事項をまとめ、異動者がスムーズに新しい仕事に取り組めるよう配慮しましょう。

 同一職場内の異動の場合は、特に法定の手続きは必要ありませんが、住所地が変わる転勤が生じた場合は、様々な手続きが発生します。

 たとえば、社会保険の資格喪失と取得の手続き(本社で健康保険と厚生年金保険の事務を一括して行なっている場合は不要)、雇用保険の「転勤届」の提出、「扶養控除等( 異動)申告書」の提出先の変更、「給与支払報告書・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の旧住所地への通知などです。

 このほか社内事務としては、通勤手当や住宅手当の精算、貸与物品の返還、赴任先への勤務状況の連絡などがあります。

 また、社員の家族に異動(子女の入学、卒業など)があれば、法定事務のほか、家族手当の変更、祝金の支給等も発生します。

社員の退職に伴う事務手続き

 退職者が出た場合には、必要に応じて「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者資格喪失届」「給与所得の源泉徴収票」「給与支払報告書・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」「離職証明書」などを作成(交付・提出)することになります。

 また、退職金を支払う際には「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受け、「退職所得の源泉徴収票(特別徴収票)」を作成します。

 退職者本人からは身分証明書や社章など身分を示すもの、健康保険被保険者証カードのほか、制服や個人管理している文書などの返却を受けます。

 社内に私物が残っている場合は、持ち帰りや処分を促します。あわせて後任者への業務の引継ぎも指示しておきましょう。

従業員1000人超の企業に対する男性育児休暇取得率公表等の義務化

 ことし4月1日から、常時雇用する労働者が1000人超の企業で、男性労働者の育児休業等の取得割合、または育児休業等と育児目的休暇を合算した取得割合の公表が義務化されます。

 公表は、おおむね事業年度終了後3か月以内とされていますので、3月が決算時期の企業は、6月末までに公表しなければなりません。

 公表手段等について、詳しくは厚生労働省のホームページで確認してください。

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