健保・厚年の被保険者報酬月額変更届の提出要否のチェック
被保険者の報酬が昇給等によって大幅に変動した場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。これを「随時改定」といいます。
新年度に入ってから定期昇給やベースアップ、または賃下げを行なった企業では、6月の給与支払い後、健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額変更届の提出が必要か否かを確認します。健康保険の最高等級に達する人や新入社員を除いて、次の3つの要件のすべてに該当する人が提出対象です。
①昇給または降給があり、固定的賃金(基本給・役付手当・技術手当・住宅手当・家族手当・勤務地手当など)に変動があったこと
②固定的賃金が変動した月から3か月間連続して、報酬の支払基礎日数が17日以上あること
③該当する3か月間の報酬の平均月額が、従前の標準報酬月額と比べて2等級以上の差があること
月額変更届は、7月中に所轄の年金事務所(あるいは健康保険組合)に提出し、8月に支払う給与から改定後の新保険料による徴収を開始します。
なお、7月に入ると、すぐに報酬月額算定基礎届の提出事務(7月10日が期限)がありますから、早めに準備に取りかかりましょう。
64ページでは、算定基礎届の基本的なしくみと手続きのポイントについて説明しています。
夏季賞与額の決定と支給
一般企業の場合、夏季賞与の支給日は6月から7月にかけて設定しているというところが大半のようです。
夏季賞与を支給する企業では、必要な資料を揃え、支給原資の検討や各人の考課・査定を進めてつつがなく支給ができるように準備を整えましょう。
経団連は、春闘で初めて「3%の賃上げ」という数値目標を設定しました。過去最高の好業績を背景に、賃上げは前年実績を上回る回答が相次ぎましたが、月収ベースで見ると、3%超に達した企業は少数にとどまりました。
72ページでは、直近の景気指標などを踏まえて、中小企業の今夏賞与の支給相場を予測しています。賞与支給額の検討材料としてください。
労働保険の年度更新手続き
労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年の3月31日までの1年間(保険年度)を単位として、すべての労働者(雇用保険については被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定されます。そのため、事業主は、前年度の確定保険料の精算と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。
この手続きを労働保険の「年度更新」といいます。
労働保険の年度更新手続きは、6月1日から受付が始まります。最終期限は7月10日ですが、6月中には目処をつけておきましょう。
44ページでは、初めて労働保険の年度更新手続きを行なう担当者に向けて、労働保険の基本と手続きのポイントを解説しています。
賞与からの健保・厚年の保険料控除
6月に賞与を支給した事業所では、賞与から本人負担分の健康保険と厚生年金保険の保険料(40歳以上は介護保険料も)を控除します。
また、賞与等の支給に際して「被保険者賞与支払届」を作成し、支給日から5日以内に、所轄の年金事務所(あるいは健康保険組合)に提出する必要があります。
賞与に係る保険料は、被保険者負担分と会社負担分とを合わせて、納入告知書に従って、支給月の翌月末までに納付します。
来春新卒予定者の採用活動
学生は依然として大手志向が強く、中小企業にとっては人材確保が厳しい状況が続いています。大手企業の動きを把握したうえで、自社の採用活動を戦略的・計画的に進める必要があるでしょう。
来春の中学・高校卒業予定者に対する求人票の受付も始まります。所轄のハローワークで日程などを確認し、早めに採用準備に入りましょう。
新入社員のフォロー
長期雇用を前提に社員を採用する際には、適性判断のため、3か月程度の試用期間を定めている企業が多いでしょう。4月入社の新入社員の場合は7月から正式採用となります。
正式採用にあたって、フォローアップの研修や、社長や役員との面談などを考えたい時期です。離職を防ぐためにも丁寧にフォローしましょう。
高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出
これらは毎年6月1日現在の高年齢者、障害者の雇用状況(役員・兼務役員を除く)を報告するものです。
いずれも、ハローワーク等に対して原則7月15日までに提出(郵送または電子申請)するものです。
ただし、地域によっては、6月末日までとするなど期限を早めているところもありますので、確認する必要があります。
男女雇用機会均等への取組み
6月は「男女雇用機会均等月間」と定められ、職場における男女雇用機会均等の認識と理解を深める各種活動が実施されています。
社員が職場で性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる環境が実現できているか、自社の人事管理に改善点はないかについて確認しましょう。