新入社員の受入準備
4月に新入社員を迎える企業では、次のような社内・法定事務が必要です。
①入社時に必要な書類の準備……通勤経路・費用申請書、扶養控除等(異動)申告書、個人番号申告書など
②入社後に支給・貸与する書類・備品の用意……身分証明書、就業規則・諸規程集、社章、机・事務用品、制服・作業服、名刺など
③出勤簿(タイムカード)の調製
④新入社員の氏名や略歴などを紹介した文書の配属先への配付
このほか、入社式や新入社員研修を実施する企業では、会場の場所や時間など、段取りの最終確認をします。
新入社員のなかに社員寮や社宅への入居希望者がいるなら、3月中に入居できるよう手続きを進めます。
賃上げの検討
4月に定期昇給やベースアップを予定している企業では、賃上げに関する資料や情報を収集し、それらをもとに社員各人の人事評価も含めて具体的な数字の検討に入りましょう。
ちなみに、厚生労働省がまとめた「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、昨年の中小企業(従業員数100〜299名)の1人平均賃金の改定額は4847円、改定率は1・9%という結果でした。業績向上などを理由に、8割以上の中小企業が引上げを実施したようです。
52ページでは、ことしの中小企業の賃上げ相場を業種ごとに予測しています。
社員の異動に伴う事務手続き
3月から4月は、人事異動の多い季節です。事務の引継ぎ事項をまとめ、異動者がスムーズに新しい仕事に取り組めるよう配慮しましょう。
同一職場内の異動の場合は、特に法定の手続きは必要ありませんが、住所地が変わる転勤が生じた場合は、様々な法定の手続きが発生します。
たとえば、社会保険の資格喪失と取得の手続き(本社等で健康保険と厚生年金保険の事務を一括して行なっている場合は不要)、雇用保険の「転勤届」の提出、「扶養控除等(異動)申告書」の提出先の変更、「給与支払報告書・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の旧住所地への通知などです。
社内事務としては、通勤手当や住宅手当の精算、貸与物品の返還、赴任先への勤務状況の連絡などがあります。
また、社員の家族に異動(子女の入学、卒業など)があれば、法定事務のほか、家族手当の変更、祝金の支給等も発生します。
社員の退職に伴う事務手続き
退職者が出た場合は、必要に応じて「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者資格喪失届」「給与所得の源泉徴収票」「給与支払報告書・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」「離職証明書」などを作成(交付・提出)することになります。
また、退職金を支払う際には「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受け、「退職所得の源泉徴収票(特別徴収票)」を作成します。
退職者本人からは身分証明書や社章など身分を示すもの、健康保険被保険者証カードのほか、制服や個人管理している文書などの返却を受けます。社内に私物があればその処分(持ち帰り・廃棄)を促します。あわせて後任者への業務の引継ぎも指示しましょう。
42ページでは、退職願・退職届を受け取ったときに会社側が行なうべきことや、退職に関する情報管理について紹介しています。
有害物ばく露作業報告の提出
人に健康障害を起こすおそれがある「報告対象物質」を、一定量以上製造したり取り扱ったりしている事業場では、その状況等を調査し、年1回、労働基準監督署に報告する義務が課せられています。2017年の作業状況等については4月2日が報告期限です(3月31日が土曜日のため)。
「働き方改革」への対応
政府は「働き方改革」として、非正規雇用の処遇改善や、賃金の引上げ、長時間労働の是正、テレワーク・副業・兼業の導入、社会保障制度の整備等に取り組むことを表明しています。残業時間の上限を月平均60時間に制限しようといった動きもあり、今後、対応が求められる可能性があります。
これらの動向を注視しつつ、自社の働き方を見直し、労働生産性の向上につなげたいところです。
38ページでは、副業・兼業容認に向けた政府の動きや、求められる現場の対応について解説しています。