個人情報保護法が施行されてからほぼ 10 年がたち、保護対象の定義があいまい、技術革新に対応できていない、ビッグデータを活用したいときに必要以上に制限がかかるなど、様々な問題点が指摘されるようになりました。
そこで政府は個人情報保護法について見直し作業を進めており、2015 年の通常国会に提出予定の「パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子(案)」を公表しました。
以下がこの案の主なポイントです。
個人情報の定義の拡充
現行法の定義では、個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等によって特定の個人を識別することができるものとされています(他の情報と容易に照合し、それにより特定の個人を識別できることとなるものを含みます)。
これに加えて、次の情報も、個人情報の範囲に加えます。
- 身体の一部の特徴で個人を識別できるもの(指紋、顔認識データなど)
- 役務の提供や商品購入等の際に割り当てられる符号(携帯電話番号、旅券番号、運転免許証番号など)
適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保するための規定の整備
利用目的の変更や第三者提供についての制限が緩和され、ビッグデータとしての活用がしやすくなります。
第三者に提供するために匿名性を高めた加工情報を作成するときは、当該個人情報を復元できないように加工する等の措置が求められます。
個人情報の保護を強化するための規定の整備
本人に対する不当な差別・偏見が生じないよう特に配慮を要する記述等の含まれる「要配慮個人情報」については、本人同意を得ない取得を原則禁止するなどの規制強化が図られます。
また、不正な利益を図る目的による情報の盗用等に対して、個人情報データベース提供罪が新設され、刑事罰が科されるようになります。