厚生労働省の「今後の家庭と仕事の両立支援に関する研究会」が、今後の家庭と仕事の両立支援に関する報告書案をまとめました。この案では、今後の両立支援のありかたを検討するにあたって、労働者のニーズと事業主の負担との兼ね合いを十分に考慮したうえで、
- 多様な介護の状況に対応しつつ継続就業できる制度の実現・多様な家族形態、雇用形態に対応した、育児期の柔軟な働き方の実現
- 男性の多様な状況に応じた子育てへの関わりを可能とする働き方の実現
を基本とし、制度の充実等を図る必要があるとしています。
特に介護については、法律上の休業制度のみですべてをカバーすることはできず、国による環境の整備とともに、企業にも長時間労働の削減や柔軟な働き方の整備など、ワーク・ライフ・バランスを推進することを求めています。
その各論として、次のような提言がなされています。
介護休業の分割取得
育児・介護休業法における要介護状態が継続した場合であっても、介護休業の分割取得を認めることを検討すべきである、としています。
分割回数の上限については、介護の始期および終期、またその間の時期にそれぞれ1回程度、休業を取得する必要があると想定されます。また、実際に労働者が介護休業を分割取得した場合の分割回数、民間事業所における介護休業規定の整備状況を参照しつつ、労働者の権利確保と事業主の負担の兼ね合いを考慮し、回数を検討すべきだとしています。
一方、分割取得が可能になった場合でも、通算の介護休業期間は現行の 93 日間とすることが考えられるとしています。
介護休業の対象の拡大
介護休業を取得できる要介護状態の判断基準については、現在の制度の状況からみて範囲が狭すぎるため、介助のありかた等を踏まえ緩和する方向で見直しを行なうべきとしています。
さらに、現行法の対象家族の要件として、「扶養する祖父母、兄弟姉妹、孫」については同居が求められますが、今後のニーズを考えると、非同居の兄弟姉妹や祖父母も対象にすることを検討すべきとしています。
特に介護休暇については、介護に関わることのできる人を増やして、1人の労働者の負担の分散を図るという点からも、取得可能な対象家族の範囲を広げるべきとの意見が出ています。
介護休暇の弾力化
介護保険関係の手続きを行なうなどで介護のために必要な休暇について、日数の延長や取得について検討を進めるべきだとしています。介護休暇の取得単位は必ずしも1日は必要ない場面も想定されることから、時間単位や半日単位の取得が提案されています。
所定外労働の制限の義務化
所定外労働の制限について、介護については特に義務づけられていませんが、
- 期限の上限を定めず介護期間終了まで事業主に義務化する
- 期限の上限を定めたうえで義務化する
- 所定労働時間の短縮措置等の選択的措置義務のメニューに加える
という案も含めての検討が考えられるとしています。
厚生労働省はこの提言をもとに、労働政策審議会の議論を経て、早ければ来年度通常国会での育児・介護休業法の改正をめざします。