昨今のガソリン価格の高騰もあり、自転車の利用者が増えています。
しかし一方で、昨年全国で起きた自転車が関係する死亡・重傷事故約7,000件のうち、前方不注意や信号無視など、7割超で自転車側の交通違反が確認されています。
重大な事故につながる自転車の交通違反を減らすことが、喫緊の課題とされるなか、警察庁は「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会」を立ち上げました。
現在の自転車の取締り
現在、自転車の取締りは、
(1) 警告
警察官による、専用のカードを使った、罰則を伴わない指導
(2) 赤切符(道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式)
重度の違反の際に交付され、取締りを受けると刑事罰の対象として検察庁に送られる
によって行なわれています。しかし「警告」には罰則がなく、「赤切符」は実際に適用されるケースが少ないのが実情です。
実効性のある取締りのために
そのため新たに、「交通反則通告制度」の対象に、自転車を追加することが検討されています。
「交通反則通告制度」とは、いわゆる「青切符」のことです。取締りを受けた違反者には「青切符」が交付され、期限内に反則金を納付することが定められ、納付しないと刑事罰の対象として扱われます。
自転車には運転免許がないため、自動車等とは違い違反点数は設けられない方向で検討されています。
谷公一国家公安委員会委員長は、「有識者検討会では、自転車に対する交通安全教育や交通規制のあり方のほか、自転車に関する交通反則通告制度の導入も含めた効果的な違反処理のあり方について議論していただきたい」と述べています。
今後、有識者検討会が年内に提言をとりまとめ、それを受けて来年の通常国会での道路交通法改正を目指すとされています。