景品表示法について、2014年の改正から一定の期間が経過したことや、デジタル化の進展等による社会環境の変化などをふまえ、消費者利益の確保を図る観点から必要な措置について検討するために設置された、景品表示法検討会の報告書が公表されました。
早期に対応すべき10項目
早期に対応すべき課題として、次の10項目を挙げ、必要な法改正案の検討作業を進めるなどの対応を期待したいとしています。
(1) 事業者の自主的な取組みの促進(確約手続きの導入)
(2) 課徴金制度における返金措置の促進(電子マネー等の活用など)
(3) 違反行為に対する抑止力の強化(課徴金の割増算定率の適用、課徴金の算定基礎となる売上額の推計等)
(4) 刑事罰の活用
(5) 国際化への対応(海外等に所在する事業者への執行の在り方等)
(6) 買取りサービスに係る考え方の整理
(7) 適格消費者団体との連携
(8) 法執行における他制度との連携
(9) 都道府県との連携
(10) 不実証広告に関する民事訴訟における立証責任等
独占禁止法を参照して規制強化
景品表示法においても、独占禁止法を参照した確約手続き(嫌疑に対し会社が自発的に改善策を確約し、処分の免除を受ける手続き)を導入することで、不当表示事案の早期是正を図るべきであるとしています。
また、返金措置において電子マネー等の金銭以外での決済手段による返金も可能とすべきであるとしています。この場合、一般消費者の利益保護の観点から、金銭と同程度の価値代替性を有する決済手段に限定する必要があるともしています。
違反行為を繰り返す事業者に対して、割り増しした算定率の課徴金を適用すべきであるともしています。
このほか、中長期的な課題として、課徴金の対象の拡大、デジタル表示の保存義務、供給要件を満たさない者への規制対象の拡大、ダークパターン(消費者が気づかない間に不利な判断・意思決定をするよう誘導するウェブデザインなど)への対応等が示され、引き続き検討を進めていくべきとしています。
消費者庁は、通常国会への提出を目指して、景品表示法の改正法案をまとめる予定です。