「骨太方針2022」では、新規創業において、保証や不動産担保に依存しない融資への見直しや、事業全体を担保とした成長資金の調達を可能とするしくみづくり等を通じて、成長資金の調達環境を整備する、という方針が示されました。
これを受け、金融庁は金融審議会に「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ」を設置しました。
示された「目指すべき姿」
議論のスタートにあたって事務局から示された資料では、担保法制の目指すべき姿として、「事業成長担保権」の新設が挙げられています。
事業成長担保権の対象は、無形資産を含む事業全体(ノウハウ、顧客基盤等の無形資産も含まれ、事業価値と一致)とされ、事業価値の維持・向上に資する者を最優先(商取引先や労働者、再生局面の貸し手等を十分に保護)するとされています。
現行の担保法制の課題に対する方向性として、次の項目が示されています。
(1) 無形資産を含む事業の将来性に着目した融資を促進→創業・第二創業を容易に
(2) 融資先の経営改善支援を促進→経営者保証等に依存せず、事業のモニタリングに基づく経営悪化時の早期支援を実現
同ワーキング・グループでは担保制度の導入により求められる融資実務やその制度設計を検討し、金融庁はその結果をふまえて民法の特例法案を、2023年の国会に提出することを目指しています。
事業成長担保権を活用した新たな融資と既存の融資の使い分けによって、スタートアップや事業承継・企業再生など、より幅広い企業の資金調達が円滑になされることが期待されます。