上場会社の監査品質の確保と公認会計士の能力発揮に向けて、金融審議会の公認会計士制度部会が報告をとりまとめました。
会計監査の信頼性確保
日本公認会計士協会の自主規制であった「上場会社監査事務所登録制度」について、公認会計士法上でも導入することが適当とされました。登録に際しては、登録者が業務停止処分中でないことや監査法人の場合に一定の社員数を有する等の適格性を日本公認会計士協会が確認することとしています。
また、上場会社の監査を行なう事務所に対して監査法人のガバナンス・コードの受入れなどの体制整備や情報開示の充実を規律付け、それができていない場合は登録を取り消せるようにすべきともしています。
公認会計士・監査審査会によるモニタリング
公認会計士・監査審査会の立入検査権限等を見直し、監査法人等の業務の運営の状況に関して行なわれるものでなくとも、公益または投資者保護のため必要かつ適当と認めるときには、公認会計士・監査審査会において必要なモニタリング機能を発揮できるようにすることが適切とされました。
公認会計士の能力発揮・能力向上
監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の対象となる社員の範囲を、現行のすべての社員から、監査に関与する社員等に限定すべきとしています。
そのほか、次のような提言がなされています。
・企業等に勤務している公認会計士の登録事項に「勤務先」を追加する
・資格要件である実務経験期間を現行の2年以上から「3年以上」に見直す
・継続的専門研修の受講状況が不適当な者等の登録抹消規定の整備
・日本公認会計士協会による会計教育活動の推進
政府はこの報告を受け、公認会計士法の改正案を今国会に提出して審議する予定です。