少子高齢化に伴う就業構造の変化、働き方や就業意識の多様化などに伴い、雇用仲介事業も様変わりしています。特にインターネットを介した就職活動が増えるなか、求人サイトの情報をもとに働き始めてみると掲載内容と違ったなどのトラブルも多くなっています。こうした問題を受け、労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会は、雇用仲介事業に関する制度の改正について次の内容の報告をまとめました。
基本的考え方
IT技術等の進展に伴い、多種多様なサービスを提供している雇用仲介事業者が労働市場において果たす役割を積極的に評価し、労働市場において需給調整機能の一翼を担う者として位置づける必要があるとしています。雇用仲介事業者の位置づけを確固たるものとしつつ、利用者が安心してサービスを利用できる環境とするため、事業者が依拠すべきルールをより明確化すべきであり、雇用仲介事業に関する制度の改正を行ない、次のような具体的措置を講ずることが必要であるとしています。
具体的措置
雇用仲介事業者が依拠すべきルールとして、「募集情報等の的確性」について募集情報等を正確かつ最新の内容に保つための措置、「個人情報の保護」について適切な求職者等の個人情報の収集と使用、漏洩禁止等が挙げられています。
現在の職業安定法の規制対象となっていない「職業紹介事業を行う者又は募集情報等提供事業を行う者から依頼を受け、労働者となろうとする者に関する情報又は労働者の募集に関する情報を提供する場合」等も、「募集情報等提供」に該当するものとし、募集情報等提供事業者については、より適切な事業運営の確保と指導監督のためにも届出制を導入し、その実態を把握することが適当であるとしています。
職業安定法に基づく指針に規定されている職業紹介事業と募集情報等提供事業との区分について、現状を踏まえ判断基準を明確化することが適当であるともしています。
募集情報等提供事業者も、適切かつ迅速な苦情の処理に当たって必要な体制を整備すべきであることも示されています。
また、募集情報等提供事業者が、募集に応じた労働者から報酬を受領してはならないという指針の内容については、法令において規定することが適当であるとしています。
ルールへの違反については、現行の助言・指導、報告徴収に加え、改善命令、停止命令、立入検査について法律に規定することが適当であるとしています。
あわせて募集情報等提供事業の届出義務違反、公衆衛生または公衆道徳上有害な業務に就かせる目的によるものや虚偽の広告による募集情報等提供等に対して罰則規定を設けることが適当であるとしています。
厚生労働省はこの報告書を受け、職業安定法等の改正をことし中に進めたいとしています。