企業実務オンライン > ニュース > これからの法改正の動き > インターネットの誹謗中傷対策に侮辱罪の法定刑引上げ

これからの法改正の動き

インターネットの誹謗中傷対策に侮辱罪の法定刑引上げ

[ 2021年12月号 月刊「企業実務」編集部 ]

pc

 社会の変化、科学技術の進展に伴って、いくつかの法改正の動きがあらわれています。

侮辱罪の法定刑引上げ

 インターネット上の誹謗中傷が問題となるなか、法制審議会-刑事法(侮辱罪の法定刑関係)部会は侮辱罪の厳罰化について議論を重ね、法定刑を「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料とする」という要綱案を採択しました。

 審議会では刑事法の改正だけでなく、民事の損害賠償額そのものが名誉毀損その他について非常に低額であることが問題とされ、別途検討がなされてしかるべきという意見も委員から出ました。

被告人の海外逃亡防止

 また、法制審議会-刑事法(逃亡防止関係)部会では、保釈中の被告人や刑が確定した者の逃亡を防止し、公判期日への出頭や刑の執行を確保するための刑事法の整備を内容とする要綱案を採択しました。

 要綱案は、次の項目で構成されています。

・保釈中または勾留執行停止中の被告人に対する報告命令制度の創設
・保釈中または勾留執行停止中の被告人の監督者制度の創設
・公判期日への出頭等を確保するための罰則の新設
・逃走罪および加重逃走罪の主体の拡張等
・GPS端末により保釈中の被告人の位置情報を取得・把握する制度の創設
・禁錮以上の実刑判決宣告後における裁量保釈の要件の明確化
・控訴審における判決宣告期日への被告人の出頭の義務付け等
・保釈等の取消しおよび保釈保証金の没取に関する規定の整備
・禁錮以上の実刑判決の宣告を受けた者に係る出国制限制度等の新設
・裁判の執行に関する調査手法の充実化等
・刑の時効の停止に関する規定の整備

 法務省はこれらの要綱案を受け法整備を進めていく予定です。

 ただし、侮辱罪の厳罰化は正当な表現行為に対する委縮効果があるのではないか、保釈中の被告人にGPSを装着させて海外への逃亡を防ぐといってもGPS装着の線引きをどうするかなど、こうした動きには運用面での様々な懸念も指摘されています。

月刊企業実務購読のご案内

最大19%OFF!! Fujisan.co.jpでお得にお求めいただけます!

購読のご案内

月刊『企業実務』ご購読はこちら

関連記事


企業の総務・人事・経理部門を全力サポート!
↓↓↓
【企業実務サポートクラブ】

≫ 企業実務サポートクラブ


新着記事
アクセスランキング
女性活躍推進特集
当社は、
Women Will の取り組みを応援しています。