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これからの法改正の動き

経済活動の変化に対応する特許法等の見直し

[ 2021年5月号 月刊「企業実務」編集部 ]

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 新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、デジタル化、リモート・非接触など経済活動のあり方が大きく変化しました。その変化に対応すべく、「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。

 この法律案の概要について見ていきましょう。

(1)新型コロナウイルスの感染拡大に対応したデジタル化等の手続きの整備

 審判の口頭審理等について、審判長の判断で、当事者等が審判廷に出頭することなくウェブ会議システムを利用して手続きを行なうことを可能とします。

 特許料等の支払方法について、口座振込等による予納(印紙予納の廃止)や、窓口でのクレジットカード支払等を可能とします。

 意匠・商標の国際出願の登録査定の通知等について、(感染症拡大時に停止のおそれのある)郵送に代えて、国際機関を経由した電子送付を可能とするなど、手続きを簡素化します。

 感染症拡大や災害等の理由によって特許料の納付期間を経過した場合に相応の期間内において割増特許料の納付を免除する規定を設けます。

(2)デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し

 増大する個人使用目的の模倣品輸入に対応するため、海外事業者が模倣品を郵送等により国内に持ち込む行為を商標権等の侵害として位置付けます。

 デジタル技術の進展に伴う特許権のライセンス形態の複雑化に対応し、特許権の訂正等における通常実施権者(ライセンスを受けた者)の承諾を不要とします。

 特許権等が手続期間の徒過により消滅した場合に、権利を回復できる要件を緩和します。

(3)知的財産制度の基盤の強化

 特許権侵害訴訟において、裁判所が広く第三者から意見を募集できる制度を導入し、弁理士が当該制度における相談に応じることを可能とします。

 審査負担の増大や手続きのデジタル化に対応し収支バランスの確保を図るべく、特許料等の料金体系を見直します。

 弁理士制度に関して、農林水産関連の知的財産権(植物の新品種・地理的表示)に関する相談等の業務について、弁理士を名乗って行なうことができる業務として追加するとともに、法人名称の変更や一人法人制度の導入といった措置を講じます。

 政府は、この法律案について今国会に提出し、早期の成立を目指すとしています。

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