地方公共団体がきめ細かな行政サービスを安定的に提供していくためには、偏りのない地方税体系を構築することが必要です。
ただし、地方税収が全体として増加するなか、地域間の財政力格差が再び拡大する傾向にあります。そこで、偏在を是正する新たな措置について検討するため、総務省は「地方法人課税に関する検討会」を立ち上げました。
これまで、法人事業税の一部を国が吸い上げ、地方に再配分するといった方策が続けられ、2018年度税制改正では、東京など5都道府県の取り分を減らし、42府県が増収となる措置が行なわれました。
しかし、依然として地方法人課税での偏在度が高いことが課題とされています。
検討会で論点となるポイントは、以下の3点です。
(1)地域間の財政力格差は再拡大
人口1人当りの地方税収の格差は、都道府県単位では2.4倍ですが、地方法人二税(法人事業税、法人住民税)では6.1倍にものぼります(東京都と奈良県の格差。2016年度)。地方交付税の不交付団体では、財源超過額が拡大し、その基金残高も大きく増加しています。
一方、交付団体では、臨時財政対策債の残高が累増するなど、きびしい財政運営が続いている状況にあります。
(2)都市と地方が支え合い、持続可能な形で発展する方向へ
地方創生の推進と一億総括躍社会の実現に向け、税源の豊かな地方公共団体のみが発展するのではなく、都市も地方も支え合い、連携を強めることが求められます。
また、各地方で生き生きとした生活が営まれることは、都市が将来にわたり持続可能な形で発展していくためにも不可欠です。
このためには、偏在性の小さな地方税体系の構築に向けて、抜本的な取組みが必要です。
(3)2019年度税制改正での実現を目指す
地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、消費税率10%段階において地方法人特別税・譲与税が廃止され、法人事業税に復元されること等もふまえて検討する必要があるとしています。
今秋までに対策をまとめ、2019年度税制改正において結論を得るとしています。