経済産業省は、JIS制度を見直し、対象をサービス分野にまで拡大するほか、JIS制定の迅速化も図る方針です。
国際競争力強化の一環
近年、欧米等では、サービス・マネジメント分野への標準化の拡大に加え、第4次産業革命に伴い、業種横断的な標準化が進んでいます。こうした背景を踏まえて、国際市場における日本の企業や産業の競争力強化の観点から、新たな標準認証のあり方が検討されてきました。
このほど、経済産業省の産業構造審議会は、「新たな基準認証の在り方について」の答申をまとめました。主なポイントは、以下のとおりです。
JIS規格のサービス分野への拡大
あらゆる産業がサービス化する流れを踏まえて、JISの対象範囲を拡大します。
対象となる例として、以下のサービスが挙げられています。
①新たな業態であり、業法の規制を定めるよりも、基準を定めるほうが市場の活性化に貢献し得るサービス(シェアリングエコノミー関連サービス等)
②情報が集まりにくく、顧客が善し悪しを判断しにくいサービス(介護、保育、ブライダル、葬儀サービス等)
③道路建設等、国家の最低限の基盤として必要なサービス(国際・空港貨物サービス、気象情報、防災・減災サービス等)
④提供品質は高いものの、国際競争力が発揮されておらず、海外展開にあたり正しく測定・評価されるために取り組むべきサービス(観光・集客、小口保冷配送サービス等)
JIS制定の迅速化
これまで、JISの審議は日本工業標準調査会が行なってきましたが、これを指定民間機関に代替させることにより、原案作成終了から公示までの期間が、従来の1年から3か月に短縮されます。
経済産業省としては、この答申を叩き台に、工業標準化法の改正に結びつけたい考えです。
改正案は来年の通常国会に提出される予定で、名称も「工業標準化法」から「産業標準化法」に変更される見通しです。