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これからの法改正の動き

解雇無効時における金銭解決制度の詳細検討へ

[ 2017年5月号 月刊「企業実務」編集部 ]

kaiko

 解雇が裁判によって無効になった場合でも、職場復帰せずに退職する労働者が一定数存在します。

 行政組織によるあっせんや労働審判、民事訴訟上の和解では、その多くが金銭で解決されているのが実態です。

 そこで、厚生労働省の有識者検討会では、解雇無効時に金銭解決が可能となる制度についての検討が進められています。

 現行の制度では、解雇を不服とする労働者は次の3つの仕組みを利用して、和解に至ることが大半です。

①個別労働紛争解決制度

 厚生労働省の都道府県労働局・紛争調整委員会のあっせんによる和解(金銭解決)。

②労働審判

 調停等による金銭解決。

③地位確認訴訟

 和解し、解決金を支払って労働契約は終了。

 これらに加え、労働者が職場復帰ではなく金銭救済を希望する場合、「労働者が解雇無効を申立」→「使用者による金銭の支払い」→「労働契約の終了」という仕組みの導入が検討されています。

 現在、議論されている論点は、次のものが挙げられます。

一回的解決について

 紛争の迅速な解決、制度のわかりやすさや利用者の負担などを考慮すると一回的解決(基本的に、1回で解決する仕組み)が可能となるか否か。

主体のあり方について

 労働者による申立だけでなく、使用者による申立も認めるか否か。

金銭的予見可能性について

 金銭の水準について、一定のルールを定めることについてどう考えるか。

・算定の基礎となる考慮要素を明示する方法
・金銭的補償の限度額(上限、下限)を明示する方法
・金銭の算定式を明示する方法

時間的予見可能性について

 金銭解決制度を検討する場合に、期間や回数など、何らかの時間的予見可能性を高めるための方策を講じることについてどう考えるか。

 厚生労働省としては、今夏までに一定の結論を出したいとしています。

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