マンションなどの基礎工事を巡りデータ不正が相次いだことを受け、国土交通省の中央建設業審議会基本問題小委員会では、現場での責任体制の明確化、一括下請負(丸投げ)の判別基準の策定等を盛り込んだ中間報告をまとめました。
主なポイントは、次のとおりです。
施工体制における監理技術者等の役割の明確化
施工の専門化・分業化、工事量の増減や繁閑の発生への対応等を背景として下請の重層化が進んでいます。
そのなかで、元請と下請の技術者の役割の違いが顕著となる半面、制度上、両者は区別されていませんでした。
そこで、元請と下請のそれぞれが担う役割を明確化することになりました。
技術者の適正な配置のあり方
現在、請負金額のみで専任の配置を規定していますが、難易度の低い工事等、工事内容によっては専任は不要ではないかとの指摘がありました。
そこで、現行の請負金額一律の基準に、金額以外の他の要素を盛り込むことを検討するとしています。
実質的に施工に携わらない企業の施工体制からの排除
丸投げは基本的に禁止されていますが、商社や代理店等、工場製品等の取引のみで施工管理を行なわない企業が存在し、役割・責任の不明確化や不要な重層化を招く恐れがありました。
そこで、丸投げの禁止を徹底するために、その判断基準を明確化することになりました。
民間工事における発注者・元請等の請負契約の適正化
民間工事では地中の状況等、施工中に発現するリスクについて、負担の考え方等の協議の場が整備されていませんでした。
そこで、施工上のリスクに関する基本的考え方や協議項目等に関する枠組みについて指針を策定することになりました。
この指針には、事前調査の必要性や、関係者間の協議項目として、地中関連、設計関連等のリスク負担に関する考え方や協議事項が盛り込まれます。
今後は、建設業法の改正等に向けて、細部を詰めていくとしています。