企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには、企業と株主・投資家との建設的な対話が重要となります。
金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」はこのほど、企業の情報開示の効率化に関する報告書をまとめ、公表しました。その概要は、次のとおりです。
制度開示の開示内容の整理・共通化・合理化
事業報告等と有価証券報告書の開示内容の共通化や一体化を進めるなど、制度開示の自由度を高めます。
非財務情報の開示の充実
有価証券報告書の経営方針・経営成績等の分析等の記載を充実させます。
①決算短信
・監査・四半期レビューが不要であることの明確化
・速報性に着目し、記載内容を削減
・記載事項をサマリー情報、業績概要、連結財務諸表などに限定
②事業報告等
・経団連ひな形に即している必要はない旨を明確化し、有価証券報告書との記載の共通化や一体化を容易にする
③有価証券報告書
・事業報告との共通化
・記載の重複排除のための開示内容の合理化
・経営方針等や経営者による経営成績等の分析等の記載を充実させる
より適切な株主総会日程の設定を容易にするための見直し
開示の日程、手続きに係る自由度を高め、株主総会までに十分な期間を置いて情報が開示されるなど、対話に資する情報のより適時な開示を促進します。
①株主総会日程の後ろ倒しを容易にする開示の見直し
・大株主の状況の開示に関し、大株主判定の基準日設定を柔軟化
②事業報告等の電子化の推進
・議決権行使率への影響等に留意しつつ個別の同意なしに電子化できる書類の範囲を拡大
政府はこうした議論を踏まえて欧米の制度と比較しつつ、早期に金融商品取引法、会社法、証券取引所上場規則などの見直しにつなげるとしています。