これからの新たな技術として期待されているのが、車の「自動走行技術」です。
自動走行技術の発展・普及によって、「渋滞の解消・緩和」「安定性の向上による交通事故の削減」「不要な加減速を減らすことなどによる環境負荷の低減」「運転負荷を大幅に軽減することによる高齢者等の移動支援」「運転の快適性の向上」といった効果が期待されています。
2013年に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」では、「車の自律系システムと車と車、道路と車との情報交換等を組み合わせ、2020年代中には自動走行システムの試用を開始する」という国家目標が示されてもいます。
変わる「ドライバー」の概念
その普及が期待される一方で課題とされるのが、自動走行に関する法的課題の整備です。
自動走行技術は、「レベル1=加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行なう状態」から「レベル4=加速・操舵・制動をすべてドライバー以外が行ない、ドライバーがまったく関与しない状態」まで4つのレベルに分類されます。
このうちレベル2までは現行の道路交通法でも対応可能とされますが、レベル3以上の実用化となると、最終的には「車を運転する人」という概念が喪失することにもなり、法的課題の整備が必要であると、警察庁交通局は指摘しています。
たとえば、自動走行する車でも運転免許証が必要となるのか、車の管理が不十分なことから事故が起きたときにその刑事責任は誰が負うのか、といった問題が想定されています。
今年度内に課題を整理
そうした法的課題の整理のために、警察庁は有識者と警察庁幹部による「自動走行の制度的課題等に関する調査検討委員会」を立ち上げました。
同委員会は、システム開発者からの意見聴取を行ないつつ、事故・違反時の責任、運転者の義務のありかたなどについて討議し、今年度中に報告書をまとめる予定です。
この報告書を受け、来年度から道路交通法、自動車運転処罰法等の改正の必要性について検討されることになります。