少子高齢化が進展するなか、労働参加率がいまのままでは若年労働力人口がピーク時のほぼ6割まで減少することが見込まれます。一方で、最初に就いた仕事が非正規だったという割合は約4割で、新規学校卒業者の離職率は大卒者の3割、高卒者の4割に達するなど、若年雇用の現況について様々な問題が指摘されています。
政府は若者が次代を担うべき存在として活躍できる環境整備を図るため、若者雇用対策に総合的・体系的に取り組むことが必要だとして、「若者雇用対策法」の制定を検討しています。
情報発信と管理強化
厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会では平成 26 年 9 月から若者の雇用対策についての検討をはじめ、新法の概要を示す報告書をまとめました。報告書では、若者雇用対策の方向性について、次の観点を示しています。
- 新規学校卒業者等の就職活動からマッチング・定着までの適切かつ効果的な就職支援
- 中途退学者、未就職卒業者への対応
- フリーターを含む非正規雇用で働く若者に対する支援
- 企業における若者の活躍促進に向けた取組みに対する支援
- 施策推進に関する関係者の取組等
その具体的な施策として、学校段階からの基礎的知識の周知啓発、応募者から求められた場合の就労実態に係る情報の開示義務付け、関連機関が提携しての情報提供と支援の充実のほか、法令違反を繰り返す企業等のハローワークの求人申込みを不受理にするルールの整備などが挙がっています。
雇用の優良企業を認定
企業側へのインセンティブとして注目されるのが、若者の採用・育成に積極的に取り組む中小企業の情報発信を支援し、マッチングの向上を図ることを目的に、新しい認定制度を創設することです。
- 新規学校卒業者の定着状況
- ワーク・ライフ・バランスに関する状況が一定水準を満たし、かつ、
- 若者の育成に熱心に取り組んでいる企業
を認定し、マークを付与して優良企業としてアピールできるようにしたり、助成金の支給対象とするなどの支援措置を講じることが検討されます。
あわせて公表された参考資料では、1.について「3 年前就職者の離職率 30 %以下」、2.について「年休の年平均取得率 70 %以上または年平均取得日数 10 日以上」「育休の取得者が男性 1 名以上または女性の 75 %以上」「月平均所定外労働時間 20 時間以下または週労働 60 時間以上の労働者の割合が 5 %以下」といった基準が例示されており、今後詰められる予定です。
政府はこの概要を踏まえた新法の法案を今国会にも提出する予定で、今年度中の施行をめざします。