2024年問題に対応して、物流の持続的成長を図るため、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」と「貨物自動車運送事業法」の改正が行なわれています。
荷主・物流事業者に対する規制
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律は、「物資の流通の効率化に関する法律」に名称が変更され、以下の規制が設けられます。
(1) 荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定
(2) (1)の取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施
(3) 一定規模以上の事業者を特定事業者に指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、取組みの実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施
(4) 特定事業者のうち、荷主には物流統括管理者の選任を義務付け
トラック事業者・軽トラック事業者の取引に対する規制
貨物自動車運送事業法の改正では、以下の規制が設けられます。
(1) 元請事業者に対して、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付け
(2) 荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対し、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価等について記載した書面の交付等を義務付け
(3) トラック事業者・利用運送事業者に、他事業者の運送利用の適正化の努力義務を課し、一定規模以上の事業者には、その管理規程の作成と責任者の選任を義務付け
(4) 軽トラック事業者に対して、必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、国土交通大臣への事故報告を義務付け
(5) 国土交通省による公表対象項目に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等を追加
本法律は一部を除き公布の日から1年以内に施行される予定です。
ネットの誹謗中傷対策
いわゆる「プロバイダ責任制限法」が改正され、SNS等での誹謗中傷に対して、大手プラットフォーム事業者の迅速な対応が義務付けられました。
(令和6・5・17法律第25号=特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律)
雇用保険の適用対象拡大
2028年より週所定労働時間が10時間以上の労働者に雇用保険の適用が拡大されます。また、2025年より自己都合退職者が職業に関する教育訓練等を受けた場合、給付制限せず雇用保険の基本手当を受給可能にするなど、リスキリング支援の充実が図られます。
(令和6・5・17法律第26号=雇用保険法等の一部を改正する法律)
国家における情報保全措置
国が身辺調査で信頼性を認めた人のみが経済安全保障分野の情報を取り扱えるようにする「セキュリティ・クリアランス制度」が導入されます。
(令和6・5・17法律第27号=重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律)
市場の透明性・公正性の確保
大量保有報告制度における株式保有割合の合算対象となる「共同保有者」の範囲が明確化されるなど、投資運用業、大量保有報告、公開買付等に関する制度が整備されています。
(令和6・5・22法律第32号=金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律)
共同親権の導入
離婚後も父母が協議して合意した場合に、双方が親権をもつ「共同親権」が導入されます。
(令和6・5・24法律第33号=民法等の一部を改正する法律)
自転車運転の規制強化
自転車運転の交通違反が青切符の対象とされ、2年以内に施行されます。
(令和6・5・24法律第34号=道路交通法の一部を改正する法律)
NHK受信料の範囲拡大
ネット配信がNHKの「必須業務」に格上げとなることで、ネット配信のみを視聴する場合であっても、NHK受信料の支払義務が課されます。
(令和6・5・24法律第36号=放送法の一部を改正する法律)