令和5年6月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等の政府方針において、アナログ規制(目視、実地監査、定期検査・点検、常駐・専任、書面掲示、対面講習、往訪閲覧・縦覧、FD等記録媒体等の各規制をいいます)として掲げられている約1万条項について、令和6年6月までを目途に、当該規制の見直しを行なうこととされていました。
これを受けて、今般、以下のとおり見直しが行なわれました。
(1) 登記簿の作成に関する規定の見直し(令和6年4月22日施行)
これまで、不動産登記や商業・法人登記等の登記簿は、「磁気ディスク」をもって調製するとされていましたが、今般の改正により、クラウドサービスの利用等が可能であることが明確化されました。
(2) 登記簿の附属書類閲覧のデジタル化(令和6年6月24日施行)
これまで、不動産登記法 121条3項および4項、商業登記法11条の2ならびに動産・債権譲渡登記令18条等で規定される登記簿の附属書類または登記申請書等(以下、これらをまとめて「登記申請書等」といいます)の閲覧について、登記官の面前でのみ閲覧をすることができるとされていました。
今般の改正により、登記申請書等の閲覧請求に際して請求人が別段の申出を行ない、登記官がそれを相当と認めるときは、ウェブ会議システムを利用した非対面での閲覧も可能とされることとなりました。
ただし、閲覧を希望する登記申請書等が多数である場合や、機器の故障や通信障害等により物理的にウェブ会議システムを利用した閲覧ができない場合は、「相当と認めるとき」には該当せず、登記官の面前で閲覧する必要があるとされています。
なお、ウェブ会議により閲覧をするための申出事項として、「ウェブ会議による閲覧を希望する旨」「連絡先電話番号」「メールアドレス」「閲覧を希望する日時」が、求められる予定です。
電気通信事業の利用者保護
電気通信事業における利用者保護の観点から、期間拘束契約に係る解除に伴う違約金等の制限に関する経過措置の廃止時期等について、明確化されました。
(令和6・4・5総務省令第42号=電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令)
作業環境測定基準の見直し
労働安全衛生法に基づき、有機溶剤などを用いた業務を行なう屋内作業場等に義務付けられている作業環境測定の測定基準や測定方法について、見直されました。
(令和6・4・10厚生労働省告示第187号=作業環境測定基準等の一部を改正する告示)
マイナンバーカードの利便性拡大
マイナンバー法の改正により、国外転出後も継続してマイナンバーカードの利用が可能とされていました。その施行期日が令和6年5月27日と定められました。
(令和6・4・12政令第169号=行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令)
代表取締役等住所非表示措置の新設
法人の代表者がDVやストーカーの被害者である場合等を含め、申請すれば、代表者の住所を登記簿謄本に表示しない措置が設けられました。
(令和6・4・16法務省令第28号=商業登記規則等の一部を改正する省令)
国際通貨基金への出資額を積増し
国際通貨基金(IMF)に対する加盟国の出資総額が増額されることとなったことに伴い、日本の出資額の上限が約6兆円から約9兆円に引き上げられました。
(令和6・4・17法律第16号=国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律)
NTTの国際競争力強化
国際競争力を高めることなどを目的として、NTTの研究に係る責務の廃止、外国人役員に関する規制の緩和等の措置が講じられます。
(令和6・4・24法律第20号=日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律)