インターネット版の官報が「正本」として位置付けられる「官報の発行に関する法律」が制定されました。これまで、官報は紙で発行されていたものが「正本」であり、インターネット版は「付属物」という扱いでしたが、この法律により法的な位置付けは逆転し、紙の官報は将来的には廃止される見通しです。
この法律では、官報の発行主体や官報記載事項、官報の発行の方法その他官報の発行に関する事項が、以下のように定められています。
官報の発行主体
官報の発行は、内閣総理大臣が行ないます。
官報掲載事項
法令等の公布は官報をもって行なわれます。
また、法令の規定により掲載が定められているものや、国の機関の諸活動に関する事項で一般に周知させるべきもの等が官報の掲載事項として定められました。
官報の発行の方法等
官報の発行は、官報掲載事項の情報について、改変防止策(電子署名等)を講じたうえで、公衆が当該事項を閲覧し得る状態に置く措置(ウェブサイトに掲載)をとることで行なわれます。
官報掲載事項の情報は、内閣府令で定められた期間、継続してウェブサイトに掲載されます。
当該期間が経過した掲載情報は、国立公文書館に移管されますが、法令等の情報については、期間経過後もウェブサイトで引き続き公開されます。
官報の発行をすることができなくなった場合の措置
災害または通信障害等が生じた場合には、官報掲載事項を記載した書面(書面官報)を掲示することにより官報の発行が行なわれます。
その他、雑則として、書面の交付や書面官報の頒布を委託する場合には、委託された者に対して秘密保持義務等を課すことや、内閣総理大臣以外の者が官報掲載事項の全部が記録されたデータベースを構成しようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないことも定められました。
この法律は、一部の規定を除いて公布の日から1年6か月以内に施行されます。
水銀規制の強化
水銀に関する水俣条約第4回締結国会議の決定を受け、規制対象の特定水銀使用製品に「写真フィルム及び印画紙」等が追加されました。
(令和5・12・1政令第344号=水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令)
JAXAの役割拡大
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、民間事業者等の研究開発に助成を行なうこと等ができるようになりました。
(令和5・12・6法律第82号=国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律)
EV普及への対応
車載用リチウムイオン電池に係る規制が見直され、ガソリンスタンドと同等に規制されていたリチウムイオン蓄電池のみによる屋内貯蔵所について、位置や消火設備の基準等の特例規定等が整備されました。
(令和5・12・6政令第348号=危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令)
大麻の取扱いを整備
大麻草の医療や産業における適正な利用を図るための法整備が行なわれています。「大麻取締法」は「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改められ、大麻草から製造された医薬品の施用等が可能になる一方、「麻薬」としての使用禁止規定や罰則が設けられます。
(令和5・12・13法律第84号=大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律)
大規模国立大に運営方針会議設置
事業規模が大きい国立大学法人に、運営方針会議が置かれることになりました。また、大学法人等の資金調達方法の対象拡大や資産管理方法の弾力化等が講じられています。
(令和5・12・20法律第88号=国立大学法人法の一部を改正する法律)