昨年、静岡県で発生した貸切バスの横転死傷事故を踏まえ、貸切バスの安全性向上に向けた新たな対策を制度化するとして、旅客自動車運送事業運輸規則等が改正されました。改正の概要は次のとおりです。
(1) 輸送の安全に係る書面および記録の保存期間の延長等
一般貸切旅客自動車運送事業者には、運送引受書、手数料等の額を記載した書類、点呼の記録、業務記録および運行指示書について1年間の保存義務がありますが、当該保存期間が3年間に延長されます。
また、点呼の記録については、電磁的記録として保存することが義務付けられます。
(2) 録音および録画による点呼記録の保存の義務付け
一般貸切旅客自動車運送事業者に対し、点呼を行なった際の状況を録音および録画(電話点呼については録音のみ)して、その電磁的記録を90日間保存することが義務付けられます。
(3) アルコール検知器使用時の写真撮影の義務付け
一般貸切旅客自動車運送事業者がアルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無について確認を行なう際に、前述の②により録画をしている場合を除き、当該呼気の検査を行なっている状況の写真を撮影して、その電磁的記録を90日間保存することが義務付けられます。
(4) デジタル式運行記録計の使用の義務付け
一般貸切旅客自動車運送事業者は、その事業に使用する自動車の運行距離等を運行記録計により記録し、当該記録を保存しなければなりません。
その方法として、この記録をデジタル式運行記録計により行ない、電磁的記録として3年間保存することが義務付けられます。
ただし、令和6年3月31日以前に新規登録を受けた事業用自動車に係る運行記録計による記録については、令和7年3月31日までの間は、アナログ式運行記録計による記録でもよいこととされています。
(5) 安全取組みの公表内容の拡充
一般貸切旅客自動車運送事業者に、インターネット等で公表が義務付けられている安全取組みの内容として、運転者に対して行なう安全運転の実技指導が追加されます。
本省令は、一部を除き令和6年4月1日から施行されます。
不動産登記申請情報の整備
所有権の保存や移転の登記を申請するときや、所有権の登記がない不動産について所有権の処分の制限の登記を嘱託するときに提供が求められる申請情報に、法人識別事項、国内連絡先事項が追加されました。
(令和5・10・4政令第297号=不動産登記令等の一部を改正する政令)
年金の公告のデジタル化
利便性向上等の観点から、事務所の掲示板や官報での掲示が義務付けられている国民年金基金等に関する情報について、インターネットによる公告が義務付けられました。
(令和5・10・6政令第300号=国民年金基金令等の一部を改正する政令)
職業紹介事業の情報提供義務拡大
職業紹介事業者に対して人材サービス総合サイト上での情報提供が義務付けられている「事業所ごとの離職状況」の情報提供期間が、2年から5年へ延長されました。
(令和5・10・23厚生労働省令第131号=職業安定法施行規則の一部を改正する省令)
新省エネ基準の策定
経済産業省は、省エネ法に基づき、エネルギー消費効率の向上を図ることが特に必要な機器について、製造事業者等が目標年度に満たすべき「基準エネルギー消費効率(省エネ基準)」を設定することなどにより、省エネルギーの取組みを推進しています。
その一環として、送電端電力量の2~3%を損失していると推計される事業用変圧器について、新たな省エネ基準等が定められました。
(令和5・10・27経済産業省告示第127号=変圧器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等の一部を改正する告示)