建築物の省エネ性能の一層の向上を図る対策を抜本的に強化するため、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、「改正法」とします)が、令和4年6月に公布されています。その一部の施行期日を定める政令、および施行に必要な規定を整備するための政令などが公布されました。
省エネ性能表示制度等を強化
改正法における改正内容のうち、
・建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度の強化
・建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度の創設
・防火規制の合理化
などに係る規定については、令和6年4月1日から施行することとされました。
改正法の一部施行に伴い、建築基準法施行令などを改正
また、改正法の一部施行に伴う関係政令の整備に関する政令により、建築基準法施行令などが次のように改められました。
(1) 耐火建築物とすべき建築物について、部分的な木造化を可能とする要件が、以下のように規定されました。
・当該木造部分が、周囲への延焼を有効に防止できる性能の床または壁等で区画されていること
・当該木造部分を経由しないで避難できるものであること
(2) 防火規制上、別棟扱いを認める「壁等」の要件が、以下のように規定されました。
・通常の火災による火熱が加えられた場合に、構造耐力上支障のある損傷を生じないこと
・火災発生側以外の面の温度が一定以上に上昇しないこと 等
なお、改正法のその他の改正(原則すべての新築住宅・新築非住宅への省エネ基準適合を義務付けることなど)については、公布の日から3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされています。
これらについても、施行日が決まり次第、必要な関係政令等の整備が行なわれる予定です。
燃料電池自動車等の規制一元化
燃料電池自動車等の駆動用燃料システムが、高圧ガス保安法と道路運送車両法の2つの法令で規制されているため、道路運送車両法上の車検制度等で安全を確保できるものは、高圧ガス保安法の適用除外とすることで、規制が一元化されました。
(令和5・9・6政令第276号=高圧ガス保安法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令)
原子力規制の整備
原則40年とされる原子力発電の運転期間を延長する認可条件と規制を厳格化する規定が令和7年6月6日から施行されることとなりました。
(令和5・9・13政令第281号=脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令 ほか)
危険物規制の見直し
セルフスタンドでは、顧客の給油時に制御卓で従業員が使用状況を確認する必要があります。その制御卓の位置の規制が緩和されました。
(令和5・9・19総務省令第70号=危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令 ほか)
地域公共交通のインフラ維持
鉄道・タクシーの運賃協議制度の創設など、地域公共交通活性化再生法の改正に伴い、国土交通省関係の省令が整備されています。
(令和5・9・22国土交通省令第73号=地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令)
二輪車の保安基準を改正
「後面衝突警告表示灯」の備付けを二輪自動車等にも可能とするため、保安基準が整備されました。
(令和5・9・22国土交通省告示第969号=道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示 ほか)