働き方の多様化の進展に鑑み、特定受託事業者(フリーランス)に業務委託をする事業者について、取引の適正化のために業務委託の際に契約条件の明示などを義務づける新しい法律が制定されました。
対象となる当事者・取引の定義
対象となる「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないもの、「特定受託業務従事者」とは、特定受託事業者である個人および特定受託事業者である法人の代表者とされました。
「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成または役務の提供を委託することとされました。
契約条件の明示義務
特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面または電磁的方法により明示しなければならないものとされました。
また、特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)を設定し、支払わなければならないものとされました。
特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領拒否・報酬の減額・返品、通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定める等の行為は禁止されました。
このほか、広告等による募集情報は正確かつ最新の内容に保たなければならないこと、育児介護等への配慮、ハラスメント対策の体制整備等の義務づけ、継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として30日前までの予告が必要とされることなどが規定されました。
これらに違反した事業者には、公正取引委員会等による指導等ができるものとされ、命令違反および検査拒否等に対し、50万円以下の罰金に処する罰則も明文化されました。
本法は公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
熱中症対策の推進
これまで法律上の位置づけがなかった熱中症警戒アラートを熱中症警戒情報として位置づけ、一段上の熱中症特別警戒情報を創設するなど、熱中症対策の強化が図られます。
(令和5・5・12法律第23号=気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律)
海上の安全を守る
知床遊覧船の事故を受け、旅客船の総合的な安全・安心対策と安定的な国際海上輸送の確保のため、遊覧船等の許可について更新制を導入する、安全確保命令に従わない事業者に懲役刑を導入するなどの規制強化が行なわれています。
(令和5・5・12法律第24号=海上運送法等の一部を改正する法律)
DV被害への対応
精神的な危害について保護命令を出せるようにするなど、DV被害への対策強化が図られています。
(令和5・5・19法律第30号=配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律)
社会保険制度維持への取組み
出産育児一時金の引上げ、後期高齢者の保険料の上限引上げなど、社会保険制度の持続のための健康保険法等の見直しが行なわれています。
(令和5・5・19法律第31号=全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律)
玩具についての規制強化
子どもの誤飲などによる事故が問題となっている、強力な磁力を有するマグネットセットや、水で膨らむボールなどの吸水性の玩具が、消費生活用製品安全法の特定製品として販売規制の対象となります。
(令和5・5・19政令第183号=消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令)
著作権の二次利用を円滑化
権利者が不明となっている著作物の利用をしやすくするための窓口組織が設置されるなど、著作権の二次利用円滑化の方策が整備されます。
(令和5・5・26法律第33号=著作権法の一部を改正する法律)