国際情勢が複雑化するなか、安全保障の確保に関する経済施策として、経済安全保障推進法が制定されました。
基本方針の策定等
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本方針を策定します。規制措置は、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行なわなければならないとします。
重要物資の安定的な供給の確保
半導体や医薬品など国民の生存や、国民生活・経済活動に甚大な影響のある物資の安定供給の確保を図るため、特定重要物資の指定、民間事業者の計画の認定・支援措置、特別の対策としての政府による取組み等を措置します。
基幹インフラ役務の安定的な提供の確保
電気、ガス、石油、水道、鉄道、金融など基幹インフラの重要設備が、わが国の外部から行なわれる役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、重要設備の導入・維持管理等の委託の事前審査、勧告・命令等を措置します。
先端的な重要技術の開発支援
宇宙、海洋、量子、AIなど先端的な重要技術の研究開発の促進とその成果の適切な活用のため、資金支援、官民伴走支援のための協議会設置、調査研究業務の委託(シンクタンク)等を措置します。
特許出願の非公開
安全保障上機微な発明の特許出願につき、公開や流出を防止するとともに、安全保障を損なわずに特許法上の権利を得られるようにするため、保全指定をして公開を留保する仕組みや、外国出願制限等を措置します。
この法律は公布の日から6か月以内~2年以内の範囲で段階的に施行されます。
その他の新法令・通達
所有者不明土地の円滑利用
所有者が特定できない土地を円滑に利用・管理するための法律の見直しが行なわれました。
(令和4・5・9法律第38号=所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律)
借地契約の電子化
定期借地契約および定期建物賃貸借契約の電子化を可能にする借地借家法の改正に伴い、施行規則が整備されました。
(令和4・5・18法務省令第29号=借地借家法施行規則)
教員免許更新制度の廃止
教員の負担が大きいと批判の声が高かった教員免許更新制度が廃止されました。
(令和4・5・18法律第40号=教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律)
会計監査の信頼性向上
上場会社監査に関する登録制の導入など、会計監査の信頼性確保や公認会計士の一層の能力発揮・能力向上に資する制度の実現に向けて公認会計士法の改正が行なわれました。
(令和4・5・18法律第41号=公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律)
生態系保全の取組み
ヒアリ対策の強化、アメリカザリガニ等に関する規制手法の整備など、特定外来生物に関する規制の見直しがありました。
(令和4・5・18法律第42号=特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律)
省エネ法の強化
カーボンニュートラルや温室効果ガス削減目標の実現に向け、特定事業者等に非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画の作成等が義務付けられます。
(令和4・5・20法律第46号=安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律)
労災保険の対象拡大
フリーランスへの労災保険の対象拡大の一環として、歯科技工士が特別加入制度の対象となります。
(令和4・5・24厚生労働省令第87号=労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令)