企業の国際取引の増加等に伴う外国法サービスに対するニーズの拡大、国際仲裁の活性化に向けた基盤整備の必要性の高まりなどを背景として、令和2年5月22日、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律」が成立し、同年5月29日に公布されました。
改正法の主な内容
同法における主な改正内容は、次のとおりです。
・外国法事務弁護士等が手続きを代理できる「国際仲裁事件」の範囲拡大と「国際調停事件」の規定を整備
・外国法事務弁護士となるための承認要件の1つである職務経験要件の見直し(職務経験期間「3年以上」のうち、日本での労務提供期間の上限を1年から2年に拡大)
・弁護士および外国法事務弁護士が社員となり法律事務を行なうことを目的とする「弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度」の創設
普及が期待される共同法人制度
法律事務一般の業務を行なう弁護士と、外国法に関する業務のできる外国法事務弁護士の事業の共同化・専門化を図る共同法人制度を創設することによって、日本法と外国法についてワンストップで法律サービスを提供できるようになります。
共同法人は弁護士法人と同じく法律事務一般を扱うことができます。支店の設置が可能なため、地方企業の利便性が向上し、海外進出が促進されることが期待されています。
改正法は令和2年8月29日に施行されましたが、弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度創設に関する規定は「公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日」に施行するとされていました。
その施行期日が令和4年11月1日と定められました。
あわせて、弁護士・外国法事務弁護士共同法人の登記に関する手続きを定めるなど、所要の規定が整備されています。
その他の新法令・通達
成年年齢引下げに伴う個人番号カードの有効期限の改定
成年年齢の引下げに伴い18~19歳で個人番号カードを作成した場合の有効期間が改定されています。
(令和4・2・10デジタル庁・総務省令第2号=行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定する個人番号、個人番号カード、特定個人情報の提供等に関する命令の一部を改正する命令)
国民健保の賦課限度額の引上げ
国民健康保険の保険料の基礎賦課額に係る賦課限度額が63万円から65万円に、後期高齢者支援金等賦課額に係る賦課限度額が19万円から20万円に引き上げられました。
(令和4・2・18政令第44号=国民健康保険法施行令の一部を改正する政令)
LNG先物取引への対応
東京商品取引所で液化天然ガス(LNG)の先物取引が開始されることに伴い、関係省令が整備されています。
(令和4・2・21農林水産省・経済産業省令第1号=商品先物取引法施行規則の一部を改正する省令)
ネット取引の消費者保護
インターネットモールなどを通じた取引の適正化と紛争解決の促進を目的として制定された「取引デジタルプラットフォーム消費者利益保護法」の施行期日が令和4年5月1日と定められ、関連政令が整備されました。
(令和4・2・24政令第48号=取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律の施行期日を定める政令 ほか)
情報インフラ普及の支援
5Gなど特定高度情報通信技術活用システムの普及促進には高性能な半導体の安定供給が不可欠です。特定半導体の生産施設整備等を後押しするための措置について、特定半導体の種類とその種類ごとの性能など所要の規定が整備されています。
(令和4・2・28政令第53号=特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律施行令等の一部を改正する政令 ほか)