クロム、水銀、カドミウムなど、有害性をもつ様々な化学物質について、環境への排出量の把握など、事業者が講ずべき管理にかかる措置を定めたものが、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)」です。
このたび、最新の有害性に関する知見等に基づき、第一種指定化学物質および第二種指定化学物質の指定の見直しが行なわれました。
①第一種指定化学物質の見直し
人や生態系への有害性を有するおそれがあり、環境中に継続的に広く存在すると認められる化学物質は、「第一種指定化学物質」として政令で指定され、PRTR制度(化学物質排出・移動量届出制度)とSDS制度(化学物質の性状や取扱いに関する情報[安全データシート]の提供に関する制度)の対象となっています。
第一種指定化学物質として515物質が指定されました( 現行462物質)。
また、特に人に対する発がん性等を有する物質として設定されている「特定第一種指定化学物質」については、23物質(現行15物質)となります。
②第二種指定化学物質の見直し
第一種指定化学物質と同等の有害性を有するおそれがあり、環境中に継続的に広く存在することとなる可能性があると認められる化学物質は「第二種指定化学物質」としてSDS制度の対象となっています。
第二種指定化学物質として134物質が指定されました( 現行100物質)。
なお、今回の見直しによって、164物質は指定化学物質から除外されています。
本政令は令和5年4月1日に施行されます。
PRTR制度に関して、改正後の対象物質の排出・移動量の把握は令和5年度から、届出は令和6年度から実施されます。
その他の新法令・通達
長期優良住宅の普及促進
改正長期優良住宅法・住宅品質確保法の施行期日が令和4年2月20日とされ、あわせて関係政令が整備されました。
(令和3・10・4政令第281号=住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令 ほか)
重要鉱物資源の安定供給確保
レアアース等の重要鉱物資源の安定供給確保を図る観点から、外国為替及び外国貿易法による事前届出が必要となる業種の範囲の見直しが行なわれました。
(令和3・10・5内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省告示第9号=対内直接投資等に関する命令第三条第三項の規定に基づき財務大臣及び事業所管大臣が定める業種を定める件の一部を改正する告示 ほか)
健康保険証等の返納手続きを省略
有効期限に至った国民健康保険被保険者証等について、被保険者自身で破棄しても差し支えないこととする取扱いが可能となるよう、国保則等について所要の改正が行なわれました。
(令和3・10・15厚生労働省令第172号=国民健康保険法施行規則及び高齢者の医療の確保に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
デジタル化による手続き簡素化
国民の負担軽減と行政運営の高度化を図るため、デジタル手続法の規定に基づき、職業安定法等の手続きで登記事項証明書の添付が省略できるようになりました。
(令和3・10・19厚生労働省令第173号=職業安定法施行規則等の一部を改正する省令)
高圧ガスについての規制緩和
高圧ガス保安法の対象となる燃焼性リスクが小さいガスについて規制緩和され、ヘリウム等冷媒を用いる冷凍設備の利用に際しての手続きが簡素化・不要化されます。
(令和3・10・20政令第286号=高圧ガス保安法施行令の一部を改正する政令)