SNS等での誹謗中傷の影響が社会問題となっています。
そこで、被害者が誹謗中傷の書き込みをした人を特定しやすくできるようにして、その抑止につなげようというねらいから、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)が改正されました。
その概要は、次のとおりです。
新たな裁判手続きの創設
これまでの手続きでは発信者の特定のため、SNS事業者等からの開示と通信事業者等からの開示という、2回の裁判手続きを経ることが一般的に必要でした。そこで、発信者情報の開示を1回の手続きで可能になるよう新たな裁判手続き(非訟手続き)が創設されました。
裁判所による開示命令までの間、必要とされる通信記録の保全に資するため、提供命令および消去禁止命令が設けられました。
あわせて裁判管轄など、裁判手続きに必要となる事項について定められました。
開示請求を行なうことができる 範囲の見直し
SNSなどのログイン型サービス等において、投稿時の通信記録が保存されない場合には、発信者の特定をするためにログイン時の情報の開示が必要となります。
発信者の特定が必要となる場合には、ログイン時の情報の開示が可能となるよう、開示請求を行なうことができる範囲等についての改正が行なわれました。
その他
開示請求を受けた事業者が発信者に対して行なう意見照会において、発信者が開示に応じない場合には、「その理由」もあわせて照会し対応を求めることとなりました。
この改正法は、公布の日から1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
その他の新法令・通達
道路と鉄道の防災強化
災害時の踏切道の的確な管理を促進する制度や、「道の駅」を防災拠点として活用する制度などが創設されました。
(令和3・3・31法律第9号=踏切道改良促進法等の一部を改正する法律)
税制改正関連法が成立
令和3年度税制改正についての関連法が可決・成立しました。
(令和3・3・31法律第11号=所得税法等の一部を改正する法律 ほか)
小学校が全学年35人学級に
公立小学校の一学級の児童の数の標準が段階的に35人に引き下げられることになりました。
(令和3・3・31法律第14号=公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律)
賃貸住宅管理業に係る登録制度創設に伴う法令の整備
賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設についての法改正の施行日が令和3年6月15日となりました。
また、登録の更新に必要な手数料の額等が定められました。
(令和3・4・21政令第143号=賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令 ほか)
化学物質についての規制強化
防ダニ剤などに使用されるPFOA等の化学物質について、第一種特定化学物質に指定し、輸入を制限するなど規制が強化されました。
(令和3・4・21政令第144号=化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令)
“ 形” のない文化を保護
地域の祭や郷土料理、日本酒の醸造技術、書道など、無形文化財と無形民俗文化財を幅広く保護するための登録制度が文化財保護法に創設されました。
(令和3・4・23法律第22号=文化財保護法の一部を改正する法律)
所有者不明土地の取扱いを整備
民法に所有者不明土地管理制度を創設するなど、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しが行なわれました。
(令和3・4・28法律第24号=民法等の一部を改正する法律)