企業で働く障害者は平成28年6月時点で約47万4000人にのぼり、13年連続で過去最高を更新するなど、障害者の就労意欲は高まっています。
国は障害者雇用対策の1つとして、「障害者の雇用の促進等に関する法律」において、企業に対して障害者を一定割合雇用することを義務付けています。
平成30年4月から、精神障害者の雇用が義務化され、障害者雇用率の算定基礎に精神障害者が加わること等の事情を踏まえて「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令」の一部が改正され、障害者雇用率を段階的に引き上げることとされました。
主な改正内容は、次のとおりです。
(1)障害者の法定雇用率
①民間事業者
民間事業者における障害者雇用率は、現在2・0%です。
これが、平成30年4月から当分の間2・2%に引き上げられます。さらに、平成33年3月末までには2・3%に引き上げられます。
②国・地方自治体・特殊法人
国・地方自治体・特殊法人における障害者雇用率は、現在2・3%です。
これが、平成30年4月から当分の間2・5%に、平成33年3月末までに2・6%に引き上げられます。
①都道府県等の教育委員会
都道府県等の教育委員会における障害者雇用率は、現在2・2%です。
これが、平成30年4月から当分の間2・4%に、平成33年3月末までに2・5%に引き上げられます。
(2)対象となる事業主の範囲
法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用する義務を負う民間の事業主の範囲が、従業員50人以上から従業員45・5人以上に拡大されます。
対象となる事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告し、「障害者雇用推進者」を選任するよう努めることが義務付けられます。
本政令の施行日は、平成30年4月1日です。
その他の新法令・通達
高年齢労働者の雇用保険の見直し
現在、65歳以上の高年齢労働者の雇用保険料の徴収は免除されていますが、その免除される額に係る規定が削除されることとなりました。
(平成29・7・14政令第196号=雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行令の規定の整理及び経過措置に関する政令)
技能実習制度の一部改正
外国人の技能実習制度の職種・作業に「築炉」「築炉作業」等が追加されました。
(平成29・7・14法務省・厚生労働省令第3号=外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令)
高額介護サービス費の見直し
介護保険制度の持続可能性を高めるため、高額介護サービス費の見直しが行なわれました。
具体的には、現役並みの所得はないが住民税は課税される世帯(一般区分の世帯)の自己負担額の上限が、ことし8月より、月額3万7、200円から4万4、400円に引き上げられるなどの措置が講じられました。
(平成29・7・28政令第212号=介護保険法施行令等の一部を改正する政令)
高額療養費の見直し
月々の窓口負担に上限を設ける高額療養費制度において、ことし8月より、70歳以上の算定基準額等が見直されました。
具体的には、現役並みの所得のある高齢者の場合、外来医療費の月額上限が、4万4、400円から5万7、600円に引き上げられるなどの措置が講じられました。
(平成29・7・28政令第213号=健康保険法施行令等の一部を改正する政令)