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新法令・通達解説―平成29年4月4日までの発表・公布・施行分

雇用保険の賃金日額の上限・下限、保険料率等の見直し

[ 2017年5月号 月刊「企業実務」編集部 ]

平成29・3・31法律第14号=雇用保険法等の一部を改正する法律ほか

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 「雇用保険法等の一部を改正する法律」が、3月31日に成立し、就業促進および雇用継続を通じた職業の安定を図るため、雇用保険の賃金日額の下限額等の改正、所定給付日数の改正、失業等給付に係る保険料率の引下げ、育児休業期間の延長、保険料率の引下げ等の措置を講ずることとされました。

 主な改正内容は、次のとおりです。

(1)賃金日額の下限額等の改正

 基本手当等の算定に用いる賃金日額について、その下限額が2、460円とされました。

 賃金日額の上限額については表1のとおりとされました。

 また、基本手当の給付率に応じて定められている賃金日額の範囲の額について、表2のとおりとされました。

(2)所定給付日数の改正

 倒産・解雇等により離職した35歳以上45歳未満の者の所定給付日数が150日に、30歳以上35歳未満の者の所定給付日数が120日に引き上げられます。

(3)育児休業期間の再延長

 原則1歳までである育児休業を6か月延長しても保育所に入れない場合等に限り、さらに6か月の再延長(2歳まで)を可能とするため、育児休業給付の支給期間が延長されます。

(4)保険料率の引下げ

 失業等給付に係る保険料率と国庫負担率について、平成29年から3年間、次のとおり時限的に引き下げられます。

・保険料率0・8%↓0・6%
・国庫負担率(基本手当の場合)13・75%(本来負担すべき額である「4分の1」の55%)→2・5%(同10%)

(5)求人情報等の適正化

 ハローワークや職業紹介事業者等のすべての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことが可能とされ、虚偽の求人申込みが罰則の対象となりました。

その他の新法令・通達

短時間労働者に対する社会保険の適用拡大

 4月1日から、従業員数500人以下の特定適用事業所以外の適用事業所においても、労使の合意に基づき、特定適用事業所と同様に、短時間労働者に対する社会保険適用拡大の取扱いを受けることが可能となります。これに伴い、健康保険法施行規則等について、所要の規定の整備が行なわれました。
(平成29・3・9厚生労働省令第15号=健康保険法施行規則等の一部を改正する省令)

産業医等への情報提供

 医師等から健康診断結果についての意見聴取を行なううえで、労働者の業務に関する情報を求められたときは速やかに提供しなければならないこと等を定めた労働安全衛生規則の改正がありました。
(平成29・3・29厚生労働省令第29号=労働安全衛生規則等の一部を改正する省令)

平成29年度税制改正

 配偶者控除・配偶者特別控除の見直し、研究開発税制の整備等などが盛り込まれた税制改正関連法案が成立しました。
(平成29・3・31法律第4号=所得税法等の一部を改正する等の法律ほか)

税関取締りの強化

 個別品目の関税率の見直し、税関における水際取締りの強化、関税法上の犯則調査手続きの見直し等が行なわれます。
(平成29・3・31法律第13号=関税定率法等の一部を改正する法律)

給付型奨学金の開始

 独立行政法人日本学生支援機構は、返還不要の給付型奨学金事業を今春の進学者から先行実施することになりました。施行日は、平成29年4月1日です。
(平成29・3・31法律第9号=独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律)

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