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風景を読む“知的”散歩術のススメ 第6回

「銀杏」は中世武家の防火と籠城時の食料だった

[ 古川愛哲<ふるかわ・あいてつ>(フリーライター)]

古寺社や古跡の樹木も無意味に植えられているわけではない。それぞれ樹木には、漢文化由来の意味がある。樹木がしめす意味や象徴を考えて風景を見直すと、また新しい発見があるにちがいない。

秋に黄色く紅葉するイチョウは、古くから神社や寺院などに植えられたが、民家に植えることは忌み嫌われた。その理由はイチョウが神聖な樹木だからと思われる。古木になると幹に瘤のようなものができる。この瘤は気根といって、これを削って飲むと乳の出がよくなる(神奈川県川崎市影向寺)という伝説が全国各地にある。

  • 銀杏
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―― 秋に黄色く紅葉するイチョウは、古くから神社や寺院などに植えられたが、民家に植えることは忌み嫌われた。その理由はイチョウが神聖な樹木だからと思われる。

 古木になると幹に瘤のようなものができる。この瘤は気根といって、これを削って飲むと乳の出がよくなる(神奈川県川崎市影向寺)という伝説が全国各地にある。

 耐火力の強さと銀杏(ぎんなん)の豆を多くつけるので、中世武家館跡や山城跡にはイチョウの巨木が残る。防火と籠城時の食料として植えたものである。

▼連載「風景を読む“知的”散歩術のススメ」
著者 : 古川愛哲<ふるかわ・あいてつ>(フリーライター) 1949年、神奈川県に生まれる。日本大学芸術学部映画学科で映画理論を専攻。放送作家を経て、『やじうま大百科』(角川文庫)で雑学家に。「万年書生」と称し、東西の歴史や民俗学をはじめとする人文科学から科学技術史まで、幅広い好奇心を持ちながら「人間とは何か」を追求。著書に『「散歩学」のすすめ』(中公新書クラレ)、『江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実』(講談社プラスα新書)などがある。
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