――山門に象の彫刻のある寺院もある。
仏典では普賢菩薩の乗物が白象で、牙は6本である。仏の理法・修行を象徴するもので、釈迦像の右側に立つ。左側に文殊菩薩で、こちらは獅子に乗って仏の知恵を象徴する。
華厳経で、象は「国家息災」の役割を与えられたが、鎌倉時代後期の寺院の場合は、真言律宗の寺院の山門や本尊として祀られた。真言律宗は鎌倉幕府のもとで、「国家息災」のために港湾を管理して、その船の入津料金を「貧民救済」の資金に宛てた。
象の彫り物がある寺院は、それが古く鎌倉時代の真言律宗の密教寺院なので、普賢には延命の意味があり、対になって文殊菩薩の獅子などがあり、その東には文殊浄土にあたる重要な湊などがある。