散歩は脳を活性化する
「散歩」や「ウォーキング」の効用を知らない人はいない。とにかく、せっせと歩いている人は多いので、
「何を今さら散歩の効用など……」
と渋いお顔をする方も多いにちがいない。
いうまでもなく散歩をすると、心臓と肺は活発に動いて、新鮮な血液と酸素をからだの隅々に送り込み、毛細血管まで行き渡らせる。20〜30分も歩けば、脂肪も燃焼されるので、からだに良いことは間違いない。
からだに良いことは、からだをコントロールしている脳にも良い。この部分が軽視されている。むしろ散歩は、脳を活性化する行為で、その結果、健康の増進・維持に役立っているとさえいえる。
足の筋肉の神経は、脳に直結しており、歩くと足の筋肉の神経が脳を刺激する。
脳がどれほど重要な部分かは、脳の消費するカロリーでわかる。脳は体重の3パーセント程度にすぎないが、その消費するカロリーは20パーセントを占める。つまりは、ダイエットで減食が過ぎると、脳はカロリー不足で、情緒不安定になったりする。
「歩く」ために歩くな!
健康法の基本原則は、
「脳の健康」
である。それにもっとも適しているのが「散歩」なのだが、散歩の脳に与える効果は、見落とされやすい。
そこで私は散歩を二種類に分けている。
「内向きの散歩」
「外向きの散歩」
である。
「内向きの散歩」とは、「健康のため」ひたすら歩くことである。脳と散歩の関係を説明してくれるお医者さんは少ないので、ひたすら歩くしかない。
まるで古武道のように、艱難辛苦を乗り越えて、修行のように黙々と歩く。同じ道を歩いて戻ってくる人を「燕返し」、宮本武蔵ばりの心境で「我に師なし」とばかり、がむしゃらに階段を上り下りする人を「二点一流」などと呼びたくなる。
これは少なくとも、脳の健康には寄与しない「内向きの散歩」である。
これに対して「外向きの散歩」とは、脳を活性化して能力を上げるだけでなく、その脳がコントロールしているからだをも健康にする散歩を指す。
むろん、むずかしいことではない。ちょっと意識を変えるだけで、あなたの散歩は「外向き」の散歩となり、脳は活性化されて能力は20パーセント以上も上がるにちがいない。
たかが散歩だが、されど散歩なのである。