役員の変更登記をしようとしたところ、ここしばらく登記をしていないことがわかりました。どのように手続きをすればいいでしょうか。
まずは、これまでの変更を全部登記してしまいましょう。そのうえで、今後手続きがきちんとできるように、対策を考えてみます。
①会社の確定申告のときに任期が到来していないか必ず確認する
ほとんどの会社の定款には、役員の任期について「選任後〇年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまで」といった規定があります。
確定申告と定時株主総会はほぼ同じ時期に行われるので、確定申告のときに任期が到来していないか確認しましょう。
②登記を司法書士に依頼する
あらかじめ司法書士に登記を依頼しておけば、役員の任期が来たときにその旨を通知してもらえるはずです。
③任期を延長する
現在、取締役の任期は、1年から10年の間で自由に決めることができます(監査役は4年から10年の間)。
平成18年5月の会社法施行前からある会社は、以前の法令に従って任期を2年にしたままのケースがありますが、任期を伸ばしてしまえば、登記の手間とコストを節約できます。
株主や役員が家族だけという会社であれば最長の10年、第三者の役員がいる場合は2年から5年程度がお勧めです。
第三者が役員の場合に任期を長くすると、役員解任のコストが上がります。任期途中で解任した場合、残存期間の役員報酬を請求される可能性があるため、短めにしておいたほうがよいでしょう。
④取締役会や監査役を廃止する
取締役会のある会社では、取締役が3名必要ですが、急に役員が辞任して2名になってしまったときは、後任が見つかるまで登記をすることができません。
後任探しに時間がかかる場合は定款を変更して取締役会を廃止することにより、取締役の最低人数の制限をなくすことができます。
取締役会を置かない場合、取締役は最低1名いればよいので、後任探しに悩まなくてすみます。同様に、監査役制度を廃止すれば監査役を選ぶ必要がなくなります。
※本記事は、月刊「企業実務」(2013年6月号)に掲載した「役員の選任・変更登記の疑問に答えるQ&A」を2015年8月時点の法令に基づき、企業実務オンライン用に再構成したものです。