管理職を除く全社員を対象に、有給休暇の 100 %消化を義務化
ブライダル事業やレストラン事業を手がけ、国内外に 50 以上の店舗を構える株式会社ノバレーゼ。創業 10 年で東証一部上場を果たし、昨年の売上高は 150 億円を突破。その目覚ましい成長を支えるのが、人材育成と働きやすい環境づくりへの取組みだ。
なかでも休暇制度に力を入れており、今年 1 月からは管理職を除く全社員を対象に、有給休暇取得率 100 %の義務化に踏み切った。
同社では、年初に各部門長が社員の有休取得希望日をヒアリングして「有給休暇取得予定表」を作成し、本社の人材管理部に提出。同部が休暇予定を取りまとめて確定し、その後は四半期に一度、出勤簿を確認して取得状況の管理を行なっている。
「単純に休日の取得を促すのではなく、計画的に休日をとる体制を整えることで、旅行などリフレッシュ効果の高い休日を過ごしてもらうことが狙いです。休みが充実していれば、仕事にも身が入ります。モチベーションの向上にもつながっています」(人材戦略部長・三木芳夫氏)
取得率の低い部署があれば、人材管理部から現場の上長に連絡し、近い時期に該当社員が休日をとれるよう、スケジュール調整を促す。事前の予定提出とチェック体制の強化により、今年上期の集計では全店舗の半分以上が予定休暇を 100 %消化、低いところでも 70 〜 80 %ほどの取得率と、有休取得率の引き上げは順調に進んでいる。
▲部署別の有休取得状況を全社で共有
また、人材管理部では、有休の取得状況を全社で共有できるよう、社内イントラネット「休(きゅう)のば通信」で部署別の取得率ランキングを公開。社員にも会社がどのような考えで取得率向上に取り組んでいるのかを、機会があるごとに説明している。
「休のば通信」を見た社員から有休を取りやすくするための業務改善策が提案されるなど、会社と社員の双方に良い影響がでているそうだ。
「担当者が休みでも仕事が回る」システムづくりで顧客満足も向上
「昨年までの全社的な有休取得率は決して高いとは言えませんでした。従来と同じ仕事をしていては休みを増やすことはできません。
現場のことはそれぞれの管理者に一任していますが、いかに仕事を効率的にするか。新しいアプローチを考え、スケジュール管理の仕方なども、状況に応じて変えていく必要があるはずです」(三木氏)
ブライダルというプライベートな案件は仕事の引継ぎが難しいと思われるが、同社では婚礼準備システムを独自に開発し、システム上で顧客情報や業務の進捗状況を管理・共有。担当者が休みでも店舗・チームで対応できる体制を整えることで、顧客へのレスポンスも早くなり、社員にとっても「自分が休むことで同僚の負担が増えるのでは」というストレスが軽減したそうだ。
事業の特性から同社では女性社員の比率が 5 割を超える。優秀な女性社員が長く働けるように育児支援なども手厚くしており、有休取得率 100 %義務化は、そうした取組みの一環でもある。
メリハリのある働き方で社員の満足度向上と健康的な企業体質の維持を目指す姿勢には、同社の創業来のポリシーが反映されている。
「当社の経営理念は『Rock Your Life(世の中に元気を与え続ける会社でありたい)』というものです。そのためには私たち自身が心身ともに元気でなくてはなりません。」
と、三木氏は言う。
「ブライダルというやり直しがきかない仕事は責任が重く、社員のストレスも大きいので、しっかりと休めるかどうかはとても重要です。
社員に元気で息長く会社で活躍してもらう。そのためにも、まずは有休取得率を向上させ、同時に働きやすい環境をつくるための様々な制度を今以上に充実させていきたいと考えています」
会社紹介
株式会社ノバレーゼ
所在地東京都中央区
業務内容ブライダル事業、レストラン特化多型事業
従業員数805人(連結・契約社員を含む)
http://www.novarese.co.jp/