3月決算の方針の検討
決算に当たっては、まず自社の決算方針を定めることから始まります。
黒字が見込まれる場合は、翌期以降の経営資源としてどれだけ内部留保するのか、有効な節税対策はないのか、など、将来に向けた戦略的な視点をもって適切な手を打ちましょう。一方、赤字で金融機関からの資金調達に不安がある場合は、少しでも当期の損失を減らす方法がないかを検討します。
もっとも、資金面の不安がなければ無理に赤字幅を圧縮せず、繰越欠損金として処理したほうが、税務上、有利になるケースもあります。
3月決算の準備事務
決定した決算方針をもとに、実地棚卸、現金・受取手形・売上債権・有価証券などの実査、仮勘定の精算、各種引当金の設定資料の準備などを段取りよく進めましょう。
決算では短期間に多くの事務をこなすため、直前になって駆込み処理をしたり、見切り処理をする状況では、思わぬミスや見落としが発生し、税務調査等でトラブルになりかねません。余裕をもった事前準備と早めの対応を心がけたいところです。
納税資金などの資金手当て
3月決算法人では、決算の仮締めをした時点で、おおよその納税額や役員賞与の額、配当金額などがみえてくるはずです。つなぎ融資の必要がある場合には、早めに取引金融機関に借入の申込みをしておきましょう。
28ページでは、借入れ銀行を増やすための方法を紹介しています。
新事業年度の収支予算計画の策定
新事業年度の経営計画や収支予算計画の策定が詰めの段階を迎えている企業もあるでしょう。
経営計画や収支予算計画の策定に当たっては、これからの景気動向の分析なども重要です。様々な機関から分析結果や今後の予測等が発表されますから、できるだけ多くの情報や資料を集めて検討します。
また、予算計画の策定では支出の基準を明確にしておきたいものです。支出に際して「そのつど稟議に諮る」「○○万円以上は社長決裁とする」など、手続きや基準を定めましょう。
売掛金等の確認と回収
売掛金等の債権の残高や回収状況の把握・確認は、日常的にきちんと行なっておかないと、トラブルが起こったときに慌てることになります。
なかなか管理が行き届かない企業もあるようですが、決算期前には少額のものも含めて債権の確認作業を行ない、完全回収に努めましょう。
この把握・確認は、決算に当たって貸倒損失として処理すべきか否かの判断の際にも必要となるものです。
36ページでは、債権残高確認で不一致があったときにとるべき対応について解説しています。
また、年度末に向けて、受取手形や小切手の事故も多くなる時期です。不渡りがあると自社の資金繰りが破綻しかねませんから、営業部門とも協力しながら管理を徹底しましょう。
2018年分確定申告の申告期限
2018年分の所得税および復興特別所得税・個人住民税の確定申告の申告期限は3月15日です。
給与所得者であっても、昨年末に年末調整を受けなかった人や、2018年中の年収が2000万円を超える人、給与以外の所得の合計が20万円を超える人、同族会社の役員などでその同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人は、原則として確定申告をしなければなりませんので、注意しましょう。