年末調整の仕上げ
1月は年末調整の仕上げとして、次のような源泉徴収事務を行なう必要があります。
①納付税額の計算と納付書の作成
1月の納付税額は、年末調整による過不足額を精算した後の金額となります。納付書(徴収高計算書)を作成する際には「年末調整による過不足税額」欄に該当金額を記載します。
②未提出の証明書類の提出督促
年末調整の際、生命保険料や地震保険料の払込証明書、住宅借入金特別控除証明書など、各種控除に必要な証明書類を提出しなかった社員がいる場合は、改めて提出を促します。
これらの証明書類が提出されないと、社員は各種控除が受けられず、事務的にも年末調整の再計算を行なって不足額を徴収(控除)する手間が発生します。
法定調書の作成と提出
1月は、「給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)」をはじめ、各種法定調書の提出月です(末日が日曜日のため、今回の提出期限は2月1日)。
源泉徴収票は、1通を社員本人に交付します。ちなみに、この源泉徴収票には1年間の給与の収入金額と所得税の年税額が記載されていることから、ほかに所得のない給与所得者にとっては、所得税の確定申告書に準ずるものと考えられています。2015年中の給与等の金額が150万円を超える役員あるいは役員だった人や、同じく500万円を超える一般社員については、税務署にも1通を提出します。
給与支払報告書は、複写分とあわせて2通とも、各人の2016年1月1日現在の住所地の市区町村に提出します(2015年中の一定の退職者分も含みます)。必要に応じて、退職所得の源泉徴収票なども期限までに税務署や市区町村に提出します。
法定調書を作成したら、それらをまとめた合計表(「給与所得の源泉徴収票合計表」など6種類)を作成し、期限までにあわせて提出します。
マイナンバーの利用開始への対応
行政機関の税・社会保障分野でのマイナンバーの利用が始まります。雇用保険の資格取得・喪失手続きなど、法人番号や個人番号の記載が必要になるケースが出てきますので、注意して対応しましょう。
税務関係では、1月以降でも「2015年度分」についての手続きでは個人番号の記載は求められませんが、2016年度分からは原則として必要です。そのため、たとえば1月1日以降に退職者が出た場合、税務署提出分の「退職所得の源泉徴収票」には個人番号を記載します。
扶養控除等(異動)申告書の受理とチェック
1月の給与計算を開始するにあたり、2016年分の「扶養控除等(異動)申告書」を社員(雇用期間が2か月以内の者以外)に配付し、必要事項を記入のうえ、提出してもらいます。
扶養控除等(異動)申告書を提出できるのは1か所に限られていますから、役員などで2か所以上から給与の支払いを受けている場合は、提出先の確認が必要です。
また、2か月以内の短期雇用者であっても、契約延長や再雇用により2か月を超えて働く見込みがある場合などに提出してもらえば、源泉徴収税額表の月額表もしくは日額表の甲欄を適用して、税負担を軽減できます。
申告書を受理したら、記載内容をチェックし、源泉徴収簿(賃金台帳)に税額表の適用区分、扶養親族の人数など所要事項を正しく記入します。
償却資産申告書の提出
固定資産税は、その年の1月1日現在所有している土地・家屋・償却資産に課される市町村税です。このうち償却資産については、所有者から提出された償却資産申告書に基づいて課税されます。
申告用紙や説明書などは、2015年12月中に市町村(東京23区では都税事務所)から送られてきます。
償却資産申告書の提出期限は、原則として1月末日ですが、2016年は日曜日のため、2月1日が提出期限となります。
資金繰りの確認
1月は、賞与から徴収した社会保険料の支払い、年末調整の結果による過不足税額の精算など、例月とは異なる資金需要が発生します。クリスマス商戦や年末商戦用に仕入れた商品などの支払いも重なる時期です。
早めに年度末までの資金繰りを確認し、借入の必要があれば金融機関に打診しておきましょう。