基礎控除の縮小、最高税率の引上げを主な内容とする改正相続税法が 2015 年 1 月から施行されます。その増税を見越してか、金の仏具の販売が伸びています。
仏具には、原則として相続税がかからないため、どんなに高価で立派な仏具でも「税金はかからない」と思われていることによるのでしょう。
国税庁のホームページには、相続税がかからない財産として「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物(ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります)」とあります。
また、仏具販売店によっては、ホームページなどで「金・銀等の貴金属は、不動産や車等と異なり、保有に関する税金(固定資産税など)はかかりません」などと、保有コストがかからないことを強調しているところもあります。
しかし、何事にも限度というものがあります。行きすぎた節税策は、税務署の厳しいチェックが入ることを忘れてはいけません。
法律が想定しているのはまず、「日常礼拝をしている物」ですから、高価な仏像や仏鈴をいくつも持っているような場合は、すべてが非課税と認められることはないでしょう。
また、一般に仏壇や仏具は礼拝用祭具または工芸品としての価値が付加されているため、同じ重さの地金に比べると、かなり割高になってしまいます。普通に相続税を払っていたほうが得だったということにもなりかねず、節税どころか、ムダな出費となってしまう可能性もあるのです。
そもそも、仏具等の非課税は、祭祀承継や先祖の供養のために認められた制度であるということを、どうぞお忘れなく……。