商工中金の成長・創業支援プログラムとは
商工中金では、平成22年7月に「成長戦略総合支援プログラム」を創設し、戦略分野で成長を目指す中小企業等を支援しています。3年間で 5,000 億円を目標に融資を行っていましたが、平成25年2月末に前倒しで目標を達成しました。
そこで、内容を拡充・発展させて「成長・創業支援プログラム」と改称し、平成25年3月に新たにスタートさせています。融資目標は1兆円でしたが、平成27年3月現在、成長・創業支援プログラムの取組実績は 1 兆 2,623 億円です。
「成長・創業支援プログラム」とは、経営資源を成長分野へ投下し持続的発展を目指す中小企業等に対して、商工中金が成長戦略計画の策定から計画遂行に必要なソリューション提供まで一貫したサポートを行う取り組みです。
成長・創業支援プログラムの利用要件
成長・創業支援プログラムは、「環境・エネルギー」「海外展開」「医療・介護・健康」などの成長分野で成長を図ろうとする中小企業を対象としています。
さらに、地域資源等を活用した第二創業や大企業からの分社化など既存企業の経営資源(人材・技術等)を最大限活用して、新分野進出に積極的に取り組む中小企業を支援します。
また、日本銀行も政府の「日本再興戦略」を支援するために「成長基盤強化に向けた取り組み」を行います。
商工中金は、その「日本再興戦略」、日本銀行の「成長基盤強化に向けた取り組み」等を踏まえ、「成長・創業支援プログラム」を活用して、成長戦略分野で創業や成長を目指す中小企業等を総合的に支援します。
具体的には、新成長戦略計画の認定を受けた企業に対し、「新成長戦略計画」上で必要となる資金について、日本銀行の成長基盤強化を支援するための資金供給も活用した成長マネーを供給していきます。
さらに、一定の条件を満たすことで、代表者本人の保証を求めない停止条件付保証制度を活用することもできます。
商工中金が、成長戦略計画の策定から計画遂行に必要なソリューションの提供まで、一貫したサポートを行っていますから、融資を受けやすくなります(借入内容等は要相談)。
これまでの商工中金の取り組み事例として、設備資金 400 万~6億円、研究開発費用や運転資金2億円などの融資実績が紹介されています。
会社の成長を支援する商工中金の主な融資制度
融資制度 | 対象 | 資金用途 |
---|---|---|
新事業育成資金 | 技術的水準が高いまたは製品・サービスに特色を有する等の新たな事業を行う中小企業で、商工中金の新事業審査委員会で新規性を認定した中小企業 | 新たな事業を行うために必要な設備資金、運転資金 |
新事業活動促進資金 | ・経営革新計画の承認を受けた中小企業 ・経営向上計画について商工中金より承認を受けた中小企業 ・産業活力再生特別措置法に基づき経営資源再活用計画の認定を受けた中小企業 ・中小企業新事業活動促進法に基づく特定業種に属する、または、同法に基づく経営基盤強化計画に従って事業を行う中小企業 ・新連携計画の承認を受けた中小企業 ・第二創業(経営多角化、事業転換)を図る中小企業 |
経営革新、経営の向上、経営資源再活用事業、経営基盤強化、新連携計画に係る事業、第二創業のために必要な設備資金、運転資金 |
IT活用促進資金 | 情報技術の普及変化に対応した情報化投資を行う中小企業 | 情報関連機器等の設備を取得するために必要となる設備資金、運転資金 |
海外展開資金 | 業種、売上等一定の要件を満たし、海外展開を行う中小企業 | 海外直接投資を行う為に必要とする設備資金 |
雇用促進資金 | 事業の拡大等により当該事業所全体で新たに原則2人以上の人材確保が見込まれる中小企業 | 事業拡大等のための設備資金、運転資金 |
ものづくり支援資金 | 中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づき、経済産業大臣から特定研究開発計画の認定を受けた中小企業 | 特定研究開発計画を実施するために必要な設備資金、運転資金 |
※本記事は、月刊「企業実務」(2014年1月号)に掲載した「政府系金融機関の各種貸付の使い勝手をみる」を、2015年8月現在の情報に基づき、企業実務オンライン用に再構成したものです。