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政府系金融機関の各種貸付ガイド 第3回

災害や金融危機に対応する商工中金のセーフティネット機能

[ 森 大志<もり・たいし>(税理士)]

政府系金融機関とは、国の支援策を金融面から推進する機関です。低利、長期、固定金利など中小企業にとって有利な条件での融資制度も少なくありません。取引金融機関のひとつとして考えたいところです。ここでは、日本政策金融公庫と商工中央金庫(商工中金)の貸付制度を紹介します。

災害や金融危機に対応する商工中金のセーフティネット機能

商工中金が行う各種貸付制度とは

 商工中金は、中小企業等協同組合その他主として中小規模の事業者を構成員とする団体やその構成員に対する金融の円滑化を図るために必要な業務を行っています。設備資金や長期運転資金をはじめ、手形割引などの短期運転資金まで、幅広い融資を行います。

 融資の対象となるのは、商工中金の株主になっている中小企業団体(商工中金株主団体)とその構成員です。
 このほか、中小企業を主要な構成員とする共同出資会社、中小企業団体とその構成員の海外現地法人、中小企業団体とその構成員の事業を承継する企業なども商工中金の融資対象となっています。

 その一方で、これから中小企業団体を設立する企業や、現時点で中小企業団体の構成員ではない企業の相談にも応じています。ですから、相談時には中小企業団体の構成員である必要はなく、融資の時点で中小企業団体の構成員になっていればよいのです。

 ただ、実際にはどのような中小企業団体があるかわからないこともあります。そんなときには、自社がどのような中小企業団体に加入できるかアドバイスが受けられますので、いままで中小企業団体と付き合いのない会社も、利用を検討するとよいでしょう。

商工中金のセーフティネット機能

 商工中金も日本政策金融公庫と同じく危機対応業務に力を入れています。

 商工中金は金融円滑化法の対象金融機関ではありませんが、「中小企業団体及びその構成員の金融の円滑化」を目的とする金融機関として、中小企業の金融円滑化に向けた貸付条件の変更等に応じています。
 平成25年3月31日に同法は終了しましたが、中小企業の個別の実情に応じた弾力的な対応を行っているのは、日本政策金融公庫と同様です。

■セーフティネット貸付の利用要件

 商工中金は、法律で定められた指定金融機関として、災害発生や経済・金融秩序の混乱等の危機時に危機対応業務を行うとされています。

 セーフティネット貸付のうち、経営環境変化対応資金については、融資期間が設備資金 15 年以内(据置期間3年以内)、運転資金8年以内(据置期間3年以内)と長期です。低金利(商工中金所定の利率、利子補給があります)、固定で借り入れることができます。

 融資限度額は 7億2,000 万円以内となっています。

 商工中金には、危機対応業務が法律で義務づけられていますから、いざというときには頼りになります。

 株式会社商工組合中央金庫法等の改正案が平成27年5月20日に成立し、引き続き、危機対応業務が義務付けられました。

会社の危機時に対応する商工中金の主な融資制度

■セーフティネット貸付
融資制度 対象 資金用途
経営環境変化対応資金 経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上減少等業況悪化をきたしているが、中長期的には業況が回復し、発展が見込まれる中小企業 中長期的な経営基盤の強化に必要な長期運転資金社会的要因等により企業維持上緊急に必要とする設備資金
金融環境変化対応資金 金融機関との取引状況の変化により、一時的に資金繰りに困難をきたしている中小企業 金融機関との取引状況の変化に伴い、必要とする運転資金
取引企業倒産対応資金 取引先企業の倒産により、経営に困難を生じている中小企業 取引先企業の倒産に伴い緊急に必要とする運転資金(一部使途においては設備資金も対象)

※本記事は、月刊「企業実務」(2014年1月号)に掲載した「政府系金融機関の各種貸付の使い勝手をみる」を、2015年7月現在の情報に基づき、企業実務オンライン用に再構成したものです。

▼連載「政府系金融機関の各種貸付ガイド」

著者 : 森 大志<もり・たいし>(税理士) 専修大学法学部卒業。平成元年、森会計事務所(森大志税理士事務所)開設。「中小企業経営者を応援したい」という思いからスタートしたブログ「税理士森大志(もりたいし)のひとりごと」がネット界で一躍有名となり、「ジャパンブログアワード2008」のビジネス部門グランプリを受賞。
http://www.tabisland.ne.jp/aoinfo/kanto/mori/
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