日本政策金融公庫の新企業育成貸付
経営の多角化、事業転換、新事業分野の開拓などに向けた資金を融資し、中小企業の成長を支援するのが新企業育成貸付制度です。
新企業育成貸付には、新規開業関係の貸付を除くと、新事業活動促進資金と中小企業経営力強化資金があります。
新事業活動促進資金の利用要件
- 中小企業新事業活動促進法による「経営革新計画」の承認を受けた企業
- 「新連携計画」の認定、農商工等連携促進法による「農商工等連携事業計画」の認定を受けた企業
- 中小企業地域資源活用促進法による「地域産業資源活用事業計画」の認定を受けた企業
- 地域産業資源活用事業を行う企業で、法認定を目指し中小企業基盤整備機構による事業計画の作成に係る支援を受けている企業
- 技術・ノウハウ等に新規性が見られる企業
- 以上に該当しないが、「新たに経営多角化、事業転換を図る企業」「経営多角化・事業転換後おおむね5年以内の企業」のいずれかに該当する場合
国や都道府県の承認や国の認定、またはそれに準ずる事業計画書の作成が貸付の条件となっており、ハードルはやや高めです。
■融資期間
設備資金 20 年以内(据置期間2年以内)、運転資金7年以内(据置期間3年以内)と長期です。低金利、固定(条件により変動)で借り入れることができます。
■融資限度額
国民生活事業は 7,200 万円以内(運転資金は 4,800 万円以内)、中小企業事業は 7億2,000 万円以内(運転資金は 2億5,000 万円以内)となっています。
中小企業経営力強化資金の利用要件
中小企業経営力強化資金の貸付は、次の2つに該当する企業が利用できます。
- 経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓などにより市場の創出・開拓(新規事業を行う場合を含む)を行おうとする企業
- 自ら事業計画の策定を行い、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に定める認定経営革新など支援機関による指導、助言を受けている企業
認定経営革新などの支援機関の指導、助言を受ければ経営力の強化ができ、それが貸付の条件になっていますから、該当すれば融資を受けやすくなります。
■融資期間
設備資金 15 年以内(据置期間2年以内)、運転資金7年以内(据置期間1年以内)と長期です。低金利、固定(条件により変動)で借り入れることができます。
■融資限度額
国民生活事業は 7,200 万円以内(運転資金は 4,800 万円以内)、中小企業事業は 7億2,000 万円以内(運転資金は 2億5,000 万円以内)となっています。
新企業育成貸付は、一定の条件を満たせば、経営者本人の個人保証を免除する制度等があります。
会社の成長を支援する日本政策金融公庫の主な貸付制度
(中小企業事業の例)
融資制度 | 対象 | 融資限度額 | 融資期間 (うち据置期間) |
---|---|---|---|
新企業育成貸付 | |||
新事業育成資金 | 新規性、成長性のある事業を始めておおむね7年以内の企業 | 6億円 | 設備資金: 15年以内(5年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
新事業活動促進資金 | 「経営革新計画」の認定を受けた企業、「新連携計画」の認定を受けたプロジェクトに係る連携体を構成する企業、経営多角化、事業転換などにより、第二創業または新たな取り組みなどを図る企業など | 7億2,000万円 (うち運転資金 2億5,000万円) |
設備資金: 20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(3年以内) |
中小企業経営力強化資金 | 新事業分野の開拓のために事業計画を策定し、外部専門家の指導や助言を受けている企業 | 7億2,000万円 (うち運転資金 2億5,000万円) |
設備資金: 15年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(1年以内) |
企業活力強化貸付 | |||
企業活力強化資金 | 卸売業、小売業、飲食サービス業またはサービス業で、店舗の新築・増改築や機械設備の導入を行う企業など | 7億2,000万円 (うち運転資金 2億5,000万円) |
設備資金: 20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(3年以内) |
IT活用促進資金 | 情報化投資を行う企業 | 7億2,000万円 (うち運転資金 2億5,000万円) |
設備資金: 15年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(1年以内) |
海外展開・事業再編資金 | 海外展開を図る企業 | 7億2,000万円 (うち運転資金 2億5,000万円) |
設備資金: 15年以内(3年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
※本記事は、月刊「企業実務」(2014年1月号)に掲載した「政府系金融機関の各種貸付の使い勝手をみる」を、2015年7月現在の情報に基づき、企業実務オンライン用に再構成したものです。