GPIFとは?
厚生労働大臣が、年金資産の運用方針の見直しを発表して以来、「GPIF」ということばが注目を集めています。
GPIFとは「年金積立金管理運用独立行政法人」のこと。2006 年 4 月に設立され、公的年金の管理や運用を任されている機関です。投資家のあいだでは“世界最大の機関投資家”と呼ばれ、運用資金は 130 兆円にものぼります。2006 年度から 2013 年度までの実質的な運用利回りは平均 2.78 %。リーマン・ショック、欧州通貨危機、デフレがあったことを考えれば、悪くない成績です。
今回の見直しは?
年金資産の運用は、これまでリスクの低い国内債券を中心に行なってきました。
今回の見直しは、運用先を安全な資産から、よりリスクの高い資産にシフトするというもので、具体的には、2015 年度から国内債券の比率を 60 %から 35 %に引き下げる一方、国内株式を 12 %から 25 %に、外国債券を 11 %から 15 %に、外国株式を 12 %から 25 %に、それぞれ引き上げるという方針です。
失敗が許されない国民財産の運用を、リスクの高い方法で行なうことの是非が注目を集めたわけですが、私たちの生活を左右する大きな決定が、国民の議論も経ずにできてしまうことに、驚きを覚えた方も多かったことでしょう。
リーマン・ショックがあってもプラスを確保できた実績があるのですから、今回の見直しも長期的には正しいのかもしれません。
ただ短期的には、もし第2のリーマン・ショックが起きたとき、国民がそれに耐える覚悟ができているのか試されているともいえます。
さらにいえば、長期的に運用が失敗したとしても我慢する覚悟があるのかどうか、それも問われている見直しといえるのではないでしょうか。