製造業・建設業・陸上貨物運送事業・小売業・社会福祉施設・飲食店のいずれかに該当する企業や、長時間労働を行わせることができる制度を持つ企業は、平成27年度に労働基準監督署に監督に入られやすいといえます。
税務調査より怖い? 労働基準監督署の「臨検監督」
労働基準監督署というお役所、数年前に「ダンダリン 労働基準監督官」というテレビドラマでとり上げられて一躍脚光を浴び、最近でもビジネス誌で特集が組まれるなど、注目が集まっています。
自社が直接監督に入られたことはなくても、違法な長時間労働や賃金未払い等、労働基準監督署から是正勧告を受けたというニュースを目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
労働基準監督署は、企業が労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法等に違反していないかを事業場に赴いて調査し(これを「臨検監督」といいます)、違反がある場合には、企業に対して是正を求めます。
何度も是正を求めても改善をしない悪質な企業に対しては、送検処分をすることもあります。送検した場合には、検察官が取り調べ等を行い、起訴するかどうかの判断をすることになりますが、起訴・不起訴にかかわらず、送検された企業については企業名を公表するという運用がとられています。
税務署よりもなんとなく目立たない印象の労働基準監督署ですが、送検する権限まで持っているという意味で、適切に対応しないと税務署よりも怖い目に遭うといえます。
平成27年度の重点監督業種&項目は?
さて、そんな労働基準監督署ですが、どのような企業を重点的に監督するかについての方針(「地方労働行政運営方針」)が、毎年4月に厚生労働省のホームページ上で公表されます。
気になる平成27年度の「地方労働行政運営方針」では、重点監督業種として、製造業、建設業、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店が挙げられており、重点監督事項として、特に長時間労働が挙げられています。
したがって、これらの業種に該当する企業や、長時間労働を行わせることができる制度を持つ企業は注意が必要です。
小さな会社も適切な労基署対応と準備が必要
また、労働基準監督署は、大企業だけでなく、従業員が数人しかいないような企業にも臨検監督を行いますので、事業規模が小さいからといって油断は禁物です。
とはいえ、「何をどう注意すれば良いかわからない」という企業がほとんどではないかと思います。
そこで、本連載では、労働基準監督署の臨検監督についてQ&A形式でわかりやすく説明し、臨検監督に入られても問題のない体制作りのお手伝いができればと思っております。
第2回以降もぜひご期待ください。
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- 第1回 平成27年度に労基署に入られやすいのはどんな企業?