政府の規制改革会議は民間雇用仲介事業のあり方について、抜本的・包括的な再構築を図る方針を打ち出しています。
同会議が定義する「雇用仲介事業」とは、職業紹介、労働者派遣、委託募集、求人広告・情報提供等の就労マッチングを担う事業全般です。
原則禁止から積極活用へ
これまで民間雇用仲介事業については、労働基準法6条の「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」という〝原則禁止〞の考え方のもと、職業安定法や派遣法などで例外的に認めるという労働者保護を主眼とした事業規制が行なわれてきました。
しかし、労働基準法の制定からすでに 60 年以上がたち、社会経済の発展、求職者や求人者のニーズの多様化、IT 化の進展などに法制度が対応しきれない状況になっています。
その結果として、様々な規制によって求人・求職情報が一部に偏在・滞留し、せっかくの貴重な就労機会が失われてしまう事態が生じています。
求職者・求人者のニーズが必要とされる先に迅速・効率的に届けられる環境をつくる必要があるということから、民間雇用仲介事業の役割を積極的に捉えなおした法制度へと改革し、柔軟で効果の高い仲介サービスの提供と就労マッチングを促進し、雇用機会の創出・拡大につなげようというものです。
学識経験者による検討
厚生労働省はその具体的な取組みとして、「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会」を設置し、法的・制度的な観点から専門的な検討を始めました。
その第1回目の会合では、次のような検討事項(案)が示されています。
- 多様な求職・求人ニーズに対し業態の垣根を越えて迅速かつ柔軟にサービスを提供することを可能とする制度のあり方
- IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度のあり方
- その他有料職業紹介事業等をより適正かつ効率的に運営するための制度のあり方
- 募集内容をめぐるトラブルを防止するための制度のあり方
- その他、雇用仲介事業等に関わる論点
規制改革会議では、職業紹介事業における「一事業者主義」を撤廃して事業者間の連携・協業を可能にする、委託募集の許可制を撤廃して企業の募集・採用代行業務に関する取扱いを明確化する、事業所設置・責任者配置規制を抜本的に見直す、といった意見が示されており、検討会ではこうした観点からの具体策が検討される模様です。
明確なスケジュールは示されていませんが、職業安定法等関連法の改正も含めた新制度づくりのために、関係者へのヒアリングが始まったところです。