―― 東京も中山道は本郷以北、東海道は品川宿以南、甲州街道は新宿以西などは江戸府外の村である。城下町以外はすべて村なので、都心以外の平地は村を歩くことになる。
散歩をしていて実感するのは、小さな郵便局(かつての特定郵便局)がやたら多いこと。明治の郵便制度を作るとき、村の庄屋が郵便局になったからである。
そうした郵便局を2つ過ぎると、2つの村を通過したことになる。
村の規模はどんなものだったのか。
江戸の終わりに近い天保年間(1830〜44)の全国の村の数は 6 万 3,540 か村。平地の村なら広さは8町( 872 メートル)× 10 町( 1,090 メートル)にすぎない。
これは全国に当てはまる。約1キロ、30 分も歩けば1つの村を通り過ぎてしまう。
以前はその中に村の鎮守社があり、寺があり、庄屋がいた。庄屋は郵便局長になったが、鎮守社は合祀されて減った。